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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

ヨンフォア

RIDEXアニメーション第2作目が完成しました〜!今回のお話はCB400FOURにまつわる親子の物語です。

Posted by RIDE 百騎百景 on 2015年9月4日

シェアさせていただきました。ぜひ最後まで見てください。

SIGN秘密基地計画

秘密基地計画-01
今日はmotoSIGN開店のつもりが、頼んであるパーツが届かないのと、チーフメカニックのichiくんが忙しくてなかなか来れないので開店休業。
うーんそれじゃあ近所の子たちに頼まれていた秘密基地作りでもするか。
SIGNの黒板には彼らの描いた「せっけいず」があり、それを見るたびに「まだあ?」と言われていたので。おじさんも忙しいんだよ。
材料は2×4SPF。彼らの描いた図では2階建になっていて、ちょっと希望が大きすぎる広さだったが、建設予定地の我が家の裏庭は確かに周りに木がたくさんあるので目線が高くなるのは楽しそうだし、高床は採用ということに。また、広さは予算(おじさんの自腹)と技術力から一坪くらいとした。十分だと思う。

秘密基地計画-02
左右の壁の構造を組み立てて立ち上げる。
「仲間に入りたい人は手伝うこと!」この一声でみんなを動員。うん、子どもでもなんとかなるもんだ。
材料の塗装もあらかじめ子どもたちと一緒にわいわいどろどろになりながらやってたので、手伝いが楽しいとすでに学習している。

秘密基地計画-03
こういう小屋の建て方ってきっとネットとかで調べればわかるんだろうけど、僕はそういうのが嫌いで、家具屋をしていた時もそうだったのだが、たとえ行き着く答えが同じであったとしても自分でなんとかしたいと思う。
訓練生たちを見ていても、YouTubeで見たとか言って細かいことは僕より物知りだったりする。今はそれが普通だし、それでいいんだろうね。
とか言いつつ、感覚で作り始めてこれでいいのかと思うところもあるけど、まあ売りもんではないし子どもたちの使用で壊れなきゃいいんだろう。

秘密基地計画-04
作業をしていると子どもたちの人数が増えてきた。
普段あまり顔を見せない子も楽しそうにわいわいやっている。
いつも閑散とした、モコの遊び場でしかなかった裏庭が、子どもたちが走り回っていると公園に見えてくる。
山の斜面に家が立ち並ぶ場所にSIGNはあり、近所の子たちの家はSIGNから一段下がった隣にある分譲地なので、うちの裏庭は少し見上げることにはなるがここで遊んでいればすぐに確認でき、また高床の秘密基地だから下から見上げても子どもの姿は見える。
まったく、そのためにあるような場所じゃないか。

秘密基地計画-05
人数が増えてきたので全員(13人)が乗ることを想定すると、床も柱もと予定より補強をしていくうちに、材料がなくなってしまった!
最初は簡単に作るつもりで、これで壁と屋根の下地までいくつもりだったのに。
また買い足しか。またやり過ぎてしまった。
しかし、子どもたちのうれしそうなこと。見るとなかなかいいんじゃない?
近くに見えるようになった桜や柿の枝にメジロがたくさん寄ってくることがわかり、早速餌付け計画が持ち上がって、バードテーブルの発注があった。

秘密基地計画-06
焚き火もできる。

動かされた山の行方

初積雪
僕の行動範囲だけ雪が降らなくて喜んでいたのだが、降らなくて残念がっている者もまわりにはいて、それに気づかされてはっとした。
天気予報ではこの気温はあと二日くらいしか続かず、その後は春のように暖かくなるという。
この大寒波で報じられる全国各地の大雪の情報。九州や沖縄の方まで降雪が観測されたというのだから、誰もが自分の街でも大雪を覚悟していただろう。なのに。
その日は関西でも、いや奈良においても他の地域では積雪があり、雪をとても楽しみにしていたうちの子どもたちはなんでうちだけ降らないのかと落ち込んでいる。二日後には暖かくなると聞いて泣きそうになっている。
これは偶然だと言い逃れることもできる。だけど自分の思い通りになることで誰かにしわ寄せがあるということを学ばなければ、願えばなんでも叶えられると軽々しくは言えない。

天気予報ではこの二日間はもう雪の表示は時間単位で見てもなかったが、もう一度。

すると今朝うっすらと雪が積もっていた。さらさらきらきらと気温の低さもあって粉のような雪だった。
うちの子も近所の子も早起きして、雪遊びを楽しんでいた。
はあ、間に合ってよかった。初心者の無謀運転気をつけなきゃ。

The Odyssey

ダカールラリー終わりましたね。
やはり今年もKTM強し、これで15連覇となる無敵の記録更新です。優勝はプライス選手(初)でした。
しかし2位以下はハスクやホンダ、ヤマハ勢も健闘しました。
出走台数からしてもKTMのサポートはかなり力を入れているダカールラリー。それをひっくり返したいホンダもエースの二人が相次いでリタイヤという、前半好調だっただけに残念な結果でした。

しかしラリーは速さだけではなく、”ラリー”という言葉が意味する通り、完走することが一番大事なモータースポーツだと改めて感じます。
「ゴールで再び会おう」
スタートはそれぞれ一人ずつ、途中順位を競い合いつつも、あの過酷で美しい世界を経験した者同士の再会を目指して、たった450ccシングルのバイクにすべてを預けて走り続ける。
ダカールラリーのキャッチコピーが「The Odyssey」長い旅路、放浪という意味と、長編叙事詩「オデュッセイヤ」にかけた人生の旅路。どちらもすべてを語ろうと思うと長くなる話。
Best of Dakar 2016 -YouTube

感覚に忠実に

SRXのキャブセッティングの見直しをすることにした。
プラグの焼け具合を見る限り、こないだの奇跡の一発セッティングはマニュアル通りでいわば文句無しの出来栄えだった。
最初は乗ってもまずまずと思っていた。しかし、何か物足りなくなってきたのだ。
ガバッと開ければギュンと回るのだけど、穏やかでフラットな感じ。コントロールしやすくはなったけど、インパクトが薄い。
無い物ねだりなのかな。でもわざわざイジってこの感じを欲しがる人ってどんな人なんだろうと思い始めると、なんだか我慢できなくなってきた。
基準をマニュアルやプラグの焼け具合におけば、自然とこんな感じになるのなら、その基準に合わせることで満足する人はいいんだろう。
でもバイクって感覚で乗るものだから、バイクが返してくる反応が個性的だったり面白かったりするから楽しいのであって、そのバイクに乗る意味があるのであって、また好みのバイクに仕立て上げていく過程も楽しいのだ。
何百万円もかけて速いバイクを作るのも、豪華な所有欲を満たしたい人も、暴走族のあのうるさいのだって、実用性とかじゃなく自分のバイクからのレスポンスと対話が成立するかが問題で、道具としてちゃんと機能してもらいながらもリスキーな部分までやっぱり愛したいからなんだと思う。

そんなバイクを作らなきゃ。


ということでひとつめは内圧コントロールバルブの取り付け位置を変えてみる。
極端な効果とブローバイガスに混ざるオイルや水蒸気を嫌ってクランクケースから離れた場所につけていたのだが、試しにブリーザーホースをひっくり返して近づけてみた。
効果はどうか。もしよければホースも新調したい。

キャブはプライマリのニードルとセカンダリのジェットをノーマルに戻し、ニードルはクリップ位置で調整。スローはパイロットジェットを下げつつスクリューで調整。
適正値に頼らず、自分のジャストを探ってみる。

ダカールラリー2016

今日からダカールラリー始まりましたね。
この雄大な風景を見るだけでもゾクゾクします。

2016 Dakar in Bolivia(YouTube)

このベンチが射す原点


僕が修行中に作らせてもらったチャペルベンチの補修をさせてもらった。
これで何度目の補修になるだろうか。長年使っていただいている間に何度かの改修もした。脚の裏にキャスターを付けたり、背中に棚を付けたり。
今回は前回の補修からずいぶん時間が経っていて、見るとかなりの傷が付いていた。点傷、引っかき傷、欠けている部分もありこれを現場で補修するとなるとパテ埋めするしかないか。
また以前取り付けたロック付きのキャスターはそのロックがバカになっていて、交換が必要。
なぜキャスターが必要だったかというと、このチャペルは写真館の中にあり、スタジオでもある。式も挙げられるが式だけを実演して撮影することもあるし、家族や友人と記念撮影もできる。その際、祭壇前のベンチは素早く移動させなければならず、女性スタッフ一人でも簡単に動かせるようにベンチの片側にキャスターを取り付けたのだ。しかし便利になったようで実際は3〜4人掛けの荷重を支えるので、キャスターに付いたロックには負担がかかる。何年もよくもったと思う。
まず作業は浅い点傷と引っかき傷をスチームアイロンでできるだけ復元させることからはじまり、キャスター交換、欠けた部分のパテ盛りをして一日。翌日その部分を削って整形し、点傷などの塗装が剥がれた部分と一緒に塗装をした。
膨大なスポッティングをしながら、この家具が示す可能性を感じていた。まだ言葉にならないアイデアが、浮かんできそうになってはまた消えていく。なんだろうこの感じ。
杉で作られたベンチは傷がつきやすく、作った当初はこんなに長く使われるものとは思わなかった。新装開店に向け急ぎの仕事だったので簡単にできるものとしてデザインした気がする。
なのに傷はつくけど壊れることもなく、むしろその傷が重なり合い何度も補修を繰り返すことで、また違った存在感が現れつつあった。その傷を肯定するような、繰り返し補修することがその価値を高めていくような。杉材を使った家具の可能性はその価値観を理解させ広めていくような試みにあるのかもしれない。

このお店の仕事納めは昨日で、今日はこのためにわざわざ店長が店を開けてくれた。
指定された時間一杯、ベンチがぶつかって付いた柱の傷まで補修して作業を終えた。
聞いても多分買い換える余裕がないと言われそうだけど、お客さんにとって体に触れる家具に、大事な思い出のワンシーンになぜこれを使い続けるのか、他に理由があるのか、今度また聞いてみたい。

ナンバープレート


我が家のイタリア人も晴れてナンバー取得!これで堂々と公道を走れるようになった。
今日は学校も仕事納めで、僕の冬休みの宿題だった書類も無事完了したので少し早めに帰らせてもらい、市役所に行ってきた。
2年前まで家具屋をしていた僕が、すっかり今は公務員で、ぶあっつい書類の束を作れるようにもなった。そんな自分を想像もできなかったけど、工場(こうば)が職員室になっただけで、相変わらずばたばたと動き回っている。

あの採用試験からもう2年か。今年ももう終わる。早い。3年任期を了解して指導員になったものの、あの頃はその後の家具屋復帰も考えていたけど、やっと体に馴染んできたこの仕事に少し未練も感じるようになってきた。来年の今頃はその決断もしなくてはいけない。
最長5年と言われている任期まで延長するか、復帰か、はたまた就職か。今の立場から色々思い描くことはあるけれど、この期限内に独りで実現できるようなことではなく、誰かを巻き込んで果たしてそんなこと僕にできるのだろうか。自分で舵を取らずと決めた姿勢を崩せば、何もかも個人の野望に打って変わる。人から見ればその区別はつかないかもしれない。しかし僕にとって人生は逆証、今まで僕が写真について言ってきたようにあらかじめ自分の中にあるものを見ているのと同じく、実現するものはすでに得ているものの中からだと思っている。新たに得ようとする必要がないからこそ舵を取らないでいられるのだ。ただそれに期限さえなければ、人を背負うこともなければ迷うことはないのかもしれない。それでもそこですべきことをするしか次は見えてこないのだから、今はその枷に気を取られないようにするのが正解なのかもしれない。

葛城市のナンバープレートはベスパのナンバーステーに合わせたように幅がぴったりで、僕のベスパをまったく考慮しないピンク色。そして思い込みかもしれないが、なかなかいい番号。
ついでに、預けてあったマイナンバーももらってきた。
受け取り拒否ではなかったのだが、行く暇もなくこんな仕事納めの日に滑り込みでいただくことに。
本店からは、職員は率先してマイナンバーカードを取得することというお達しもあり、僕もベスパと同じ日にナンバーを取得した。
市役所だから原付ってことね。小特っていう場合もあるか。


年内完成、年内登録になんとかぎりぎり間に合いそうなVESPA100。
昨日は写真茶話会RRだった。
ほんとうならこの時期ギャラリーも決まって展覧会の準備をしていないといけないのだが、予定していたギャラリーが開催時期のスケジュールが詰まっていて予約が取れなかったため、今年度のRR展はまだ宙ぶらりんな状態。
それに対する案もいくつか出たが、話し合いでは結論が出ず、一番有力な線も意外な障害によって立ち往生してしまった。
そして何より参加者の作品がまだほとんどまとまっていないというのも、できればもう少し展覧会を先送りしたいという甘えにつながって、この問題に対して本気で解決しなければならない僕は責任を曖昧にしようとしている気もする。
判断力が鈍っていてはっきり答えが出せない。どうする。多分こんな時は明らかな正解があるのに、それを見ようとしないために迷いが生じているような気がする。
自分がそうでなければならないと考える結論に目を閉じ、よく耳を澄ましてみよう。

茶話会メンバーの皆さん、もう少し答えが出るまで待っていてください。
それまで自分の作品と向き合って。次回の茶話会でもう一度話し合いましょう。



役所の仕事納めの勤務時間に滑り込みで登録することになりそうな明日に向け、ギヤオイルの交換をしようとドレンボルトを外すと、ぼたっとひとかたまりバットに落ちた後、たらりともオイルが落ちてこない。なんとギヤオイルまで減り続けてほったらかしだったようだ。
試運転とか言ってこんな状態で走っていたことを恐ろしく思った。
ドレンボルトを戻し、注入口からオイルを注ぎ入れる。
ベスパのギヤオイルには量を測るゲージなどはなく、この位置にあるため、またM8ボルトの穴に注ぐのにこのような細口のボトルを使う。これはホームセンターに売っていたものだが、ベスパにちょうどいいノズルと容量のものがあった。

およそ200ccを入れるのだが、適量の印としてこの注入口から溢れるくらいでいいらしい。
このボトルが目盛りで200まであり、ちょうどそのくらいを注入したところで少し溢れ出てきた。
ギヤオイルは性能に定評があるヤマハ純正を使用。
エンジンをかけてみると音が静かになっていた。今までの、回すとヒューンというギヤの音はどうやらカラカラで回るギヤと中で空気を切る音だったようだ。
試しに乗ってみても伸びが違っていて、スムーズなギヤチェンジも明らか。いや結構速いよこれ。さすが2スト100cc。坂道もぐいぐい登ってくれた。
しかし、今までギヤオイルなしで走っていたので、中への負担はちょっとわからない。次回のオイル交換は早めにして確認しよう。それまでにM8のドレンパッキン探しておこう。

それ以外に他にやってないところなかったっけ、と思い出したのがフロントハブのグリスアップとメーターギヤの確認もした。
どちらもほとんど油ぎれ状態だったので、シリコングリスを塗りたくって樹脂製のメーターギヤを戻し、ハブにもしっかりグリスを充填して蓋をした。

その後、少し磨くか、と始めたら止まらず、メッキパーツやボディーの塗装が残っているところを花咲Gで磨いた後、錆の浮いている塗装面も含めサビサビの部分までポリマーコーティングを塗って拭きあげた。
つまり、錆びている部分はその進行を抑える程度として残す方向。塗装が残っているところは艶まで出すことにしたわけだ。
あのカサカサのサビサビも味があるとはいえ、多分寿命は短い。ピカピカにサビサビは違和感はあるけど今後のメンテで磨き続けられる。マットのウレタンクリアも考えたが、塗膜の下で何が起こるかを考えると、油分をひたすら補給し続けるという方法で今後こいつと付き合っていくことを選んでみた。
さあ、明日は滑り込みでナンバー取得なるか。その足で自賠責も忘れずにね!

やったね


今日のmotoSIGNは朝からベスパのシートの張り替えをしようと準備をしていると、CRAFTの堤さんがやってきた。
近くに現場があるそうで、久しぶりに寄ってくれたのだった。
僕がここで仕事をしていた時はしょっちゅう来てくれていたのだが、僕が指導員になってから会う機会がめっきり減ってしまった。
久しぶりでも雰囲気は一緒。話す内容はさすがに以前のようなダメ出し連発はなかったけど、今後のことでいろいろアドバイスをしてくれているようで結局「しっかりやれ」というケツ叩きに終始し、最近の僕の迷いも少し晴れた気がした。
前に進むしかないよね。


堤さんが帰った後、シートの分解を始める。
ベスパのシートは鉄のフレームに生地がクリップでとまっている。ボロボロになって生地のほとんどは残っていないが、フレーム周りは芯が入っていて頑丈になっているため、その辺りだけ残っていた。
クリップには爪が付いていて、少し開きながら外さなければならない。指でこじるよりマイナスドライバーを突っ込むと簡単に外れる。少し錆びていたがなんとか再利用できそうだった。

接着してある部分を剥がすとすっぽり抜ける。

へこんだ部分や痩せた部分を補うため、ウレタンのチップを細かく切ってへこみを埋めた後、全体に貼り付ける。チップは家具屋の名残で、以前自分の作品用に買った在庫が残っていた。
これで少し”あんこ増し”にはなったけど、表面は滑らかになった。
接着は速乾ボンド(ゴムのり)のスプレー缶を使った。実習で訓練生が使っているのを見て知ったのだ。すぐに減ってしまうけどこれは便利。けどちょっと高い。

その上から防水用のビニールシートを接着し、生地をかぶせる。
これはすでにベスパ用に縫製されているもので、シート張り替えの会社のHPに手順が掲載されていて、それを見ながらDIYでする商品が販売されていたので購入した。
当然張り屋さんに出すより安く済むのでいいのだが、実物はオリジナルと比べると少し安っぽい。自分でやる楽しさを味わえるのがいいところ、としておくか。

フレームに巻き込み、またクリップでとめていく。厚みが増した分結構強く引っ張りながら張っていく。
クリップに頼っているのは少々不安だが、ベスパの張り替えは簡単だ。一度経験すればまたやろうっていう気になる。

外して磨いておいたフックを取り付ける。ビス穴は革用のポンチ(6mm)を使った。
ガサガサだったアルミパーツも磨けばツヤツヤになる。酸化した色が残っているのが逆に渋い感じに仕上がった。

できあがりー


まあここだけピカピカなのは違和感あるけど、座り心地はかなりアップした。あんこ増しが効いてるね。
意外といけるもんだね。

ボロいままじゃ走らん


やっと普通に走れるようになったベスパ。次は外側に手を入れていこうと、まずはブラックボックスになっていたシートを張り替えることにした。
現状怪しげなシートカバーが掛けてあり、今までの整備でシートを開け閉めしたり外したりするたびに、中から錆の塊やシートの切れ端がばらばらと出てきていた。
何かあるとは感じつつ、怖くてこれを外す気になれなかった。それよりもまずは走るようにすること。ボディーに関してもかなり劣化していて、どこまでやるかはこのベスパが走れるのかどうかがポイントで、それがはっきりするまでは見た目を気にしている場合ではなかった。
このボロいところが渋い、という意見もあったが、そのまま乗るだけではこの車体自体の寿命を早めるだけかもしれない。ボディーの朽ちかけた部分、塗装が残っているところも粉が吹いているし、メッキは曇って、アルミパーツはガサガサ。そしてシートはカバーにすでに穴が空いていてそこからどんどん朽ちていくのは目に見えている。
古くてもボロくても大事に乗ってる感を出していきたい。これはmotoSIGNのポリシーでもある。

ここだけ新しくなると違和感あるかな、とも思ったけど、乗ってるうちに馴染んでくるはず。やっぱり気持ちいいシートで走りたい。張り替えよう。
と、カバーを外した。

裾をめくってまず目に入ったのがシートベルトの留め具。うわー
シートは張り替えるにしてもこれは流用するつもりだったのに。これじゃ使えない。ていうかこれ外せるの?
錆びてる上に前オーナーがプラスドライバーでグリグリして頭潰れてるし。
両方こんな感じで、張り替えにはまずこれを外さなければならないしなあ。

で、なんじゃこりゃー!
カバーの下はビニールレザーはほとんどなくなり、ウレタンも痩せていてところどころ凹んでいて、なんというか、こんな状態でカバーかけてるだけって、お前。あちこちのボロさもそうだけど、かわいそうに。
今までの事とさらにこれで心折れそうになりつつ、しかしここまで来たらやるのだ。
さっきのシートベルトの留め具をCRCぶっかけながらロッキング(バイス)プライヤーで掴んで回し、バラバラ崩れながらもなんとか外すことはできた。
今まであまり活躍する場面がなかったロッキングプライヤーがこんなに頼もしく思ったことはない。ありがとうロッキングプライヤー。

もはや罠としか思えない


村田くんに頼んでおいたワイヤーも届き、さてさて切れたチェンジワイヤーを交換するぞとハンドル周り、ライトカバーを外そうと思ったら、それをするために色々やらなくてはいけないことが多いベスパ。
まずは左右レバーのクラッチワイヤーとブレーキワイヤー、メーターワイヤーの先端を外してフリーにした後、ヘッドライトを外して内側からメーターを押し上げて外す。この時メーターワイヤーのアウターを固定しているロックナットが落下しないようにインシュロック(結束バンド)でストッパーを作るのを忘れずに。今回これが確実にできてなかったので後で痛い目を見ることに。
そして、カバー内にあるチェンジワイヤーとアクセルワイヤーも外しておいて、フロントブレーキのワイヤーはアウターごとハンドルから抜き取ってメーターワイヤーと束ねてステムの中に沈めておく。
それで初めてよいしょとハンドルは取れる。のだが、

見るとステムベアリングがカラカラに乾いていてさらに錆がきている。ああまたか。
とにかく何かしようとするとまた何か見つかり、なかなか前に進まない。見てしまった以上やらないわけにはいかず、ステムも分解してグリスアップすることにした。
この時忘れてはいけないのがスタンドの固定。ベルトで前に引っ張っておかないと、ステムを抜く時に自動的に畳まれてしまう。
錆を落として磨いてグリスを圧入して戻した。いったい今日は何をするつもりだったんだっけ。

そしてこの状態、別に嫌になって投げ出したのではなく、これが正式(?)なベスパの整備姿勢なのだ。
チェンジワイヤーを整備するには車体の真裏にあるカバーを外すことになり、ジャッキやリフトで上げるより倒してしまった方が作業がしやすい。
もちろんそのためにキャブは空っぽにしてタンクを外してからとなる。色々あるね。
古いワイヤーを抜き取り、新しいものに交換して仮止めした状態でまた車体を起こしハンドルを元の位置に戻すと、ああっ!ない!
最初に注意していたはずのメーターのロックナットがストッパーごとなくなっていた。

構造上外に出て行くことはないので、きっとあの奥。奈落の底に落ちてしまったのか。
またまたステムを分解してフロントを外し、逆さまにして振ったり叩いたりしても出てこない。
ハンドルはフェンダーの下の方で曲がって片持ちになっていて、そこからブレーキとメーターのアウターが出てくるので落ちるとすればそこまで落ちる。上からライトで照らしても見えないので多分曲がった先にあるのだろう。
ストッパーはどうしたんだ。くっそー
色々試みたけど結局アウターを引き抜いて逆さまにしてほじくって出すという確実で一番めんどくさい方法でなんとか回収することができた。
その間にフェンダーは曲がるわ手は切るわ、体力も消耗してしまった。二度とやりたくない。

また曲がったトンネルにアウターを通すのにも一苦労があり、もう次は失敗しないようにとストッパーの取り付け位置を変更した。
もしこれを読んで参考にする人のために書いておくと、この自作ストッパーは某整備マニュアルでは上の金属部分に取り付けているけど、微妙に下すぼまりな形状のため擦れたりすると抜けて”落ちます”よ。絶対にアウターに付けるべき。
今日はまたこれで力尽き、作業はここまで。

一難対応中にまた一難


もう当分ホイールに触りたくないと思うくらい、あの錆にはやられた。
多分これは放置ベスパの持病とも言えるのではないだろうか。
このホイールの構造は、ユーザーレベルでタイヤ交換をしやすくするためのアイデアだとは思うけど、新しいうちは車載工具のレンチだけでレバーも必要なくていいのだが、隙間から入る水を避けることはできないし、唯一無塗装のナットとワッシャから錆が始まってホイール内部は錆の温床。
今日は違うところをやろうと、キレの悪かったクラッチワイヤーの調整をすることにした。少しワイヤーが伸びていたから。

フロントのホイールを外してリアをジャッキアップ。裏を覗くとこんなありさま。とにかくコテコテ。
クラッチのレバー周りだけ泥を落として、ストッパーを外す。
この作業、床に寝そべって下から潜り込んでライトを照らしながらしていると、不思議な感覚がフラッシュバックしていた。
学生時代の探検部で洞窟に潜っている時みたいな。
そう思うとなんだか楽しくなってきた。

ベスパのためにワイヤーの調整に使う工具を購入した。ワイヤープライヤーとワイヤーカッター。
ベスパの操作系は、アクセル、フロントとリアのブレーキ、トランスミッション、ついでにチョークとメーターギアなど、ほとんどがワイヤーでの伝達となっていて、それらはモノコックボディーのトンネルの中に隠されている。それは外からは見えなくすることで機械の仰々しさを感じさせず、優雅なデザインを強調し、どんなユーザー層にも親しみやすくするためだと言われている。
そのコンセプトは後のスクーターにも受け継がれ、今や当たり前の構造となった。
しかし、クラッチやシフトチェンジ、フットブレーキという今のスクーターにはない機構があるためワイヤーの調整は出番が多く、いや、ベスパの整備はほぼワイヤーと言ってもいいくらい重要なのだ。
RIDEの村田くんによれば、できれば年に一度ワイヤー交換をしたほうがいいとのこと。上記の構造上伸びやすく切れやすいベスパのワイヤーは、どれがダメになっても走行に支障をきたす。実際こいつを譲り受けた時にはフロントブレーキがのびのびで機能してなくて、クラッチもキレが悪かった。
だからこんな工具を手に入れると、ベスパに本気、みたいな高揚感があったりする。
(写真右のダイソーガチャックはまた別の作業に必要なもの、お楽しみに)
クラッチの調整を終え、ついでにフロントブレーキもワイヤープライヤーで確実に調整しなおし、試しにエンジンをかけてシフトチェンジしてみた。
おお軽くなった、よしよし、と思っていたら、バツン!
ミッションワイヤーが切れた!およよ、なんてこと。ああ、

そんな時、宅配便で落札したホイールがもう届いた。早いな。
最近はすごいね。しかし、届いてしまった以上やらないわけにはいかず、切れたワイヤーはまた村田くんに注文するとして、まあやりますか。
梱包を解くと一本はやはり錆び付いていた。今までのようにひどくはないけど、やはり持病は免れないのか、結局剥がして削ってをすることに。
すでに2本が廃棄なので、このどちらかをフロントに、もうひとつをスペアにする。
状態の良いほうに新しいチューブとタイヤを装着し、それについていたタイヤ(S83!)を悪いほうに付け替え、悪いほうのタイヤは廃棄、良いほうのチューブはパンクしていたので悪いほうのチューブを残し、と入れ替えでパズルのようだった。

しかしそれによって、スペアはミシュランのチューブにミシュランのS83となり、ほとんど装飾のスペアだから見た目がカッコよくなっていい感じ。
また、新しいタイヤはノーマル3.00-10のところ90/90-10に変更したので10ミリほど太く大きくなっている。

これで本当なら試運転したいところだけど、ああワイヤー。

錆るは朽ちること


ふたつめのホイールの分割を試みて数日。諦めた。

これはもともとスペアとしてリアキャリアに付いていたもので、タイヤは裂けていたがホイールの外観は一番良かった。とは言え錆が出ているのは他と同じく、錆で固着しているのをまずは剥がさなければならない。
リアホイールと同じく錆び付いたナットはCRCを浴びせながらなんとか外れたものの、ホイールそのものも錆び付いて剥がれない。
さらに隙間にCRCを流し込んでは少しずつこじってはまたCRCを繰り返すも、タイヤとホイールが錆で癒着してしまっている。
ビードブレーカーを使っても剥がれない。少しは外れたところはないかと覗き込むたびに、中で崩れて粉末化した錆がザラザラと音を立てている。
これではたとえ外れたとしても、リアホイールより状態が悪いことは間違いないと思われた。
このホイールは諦めようと、現在フロントに付いているものを見て愕然とした。

割れている。

試運転の時に少しハンドルが取られる感じがして、おかしいなとは思ったが、これが片持ちサスであるベスパの癖なのかと思いながら走っていた。
もちろんそれまでに何度もホイールは確認していたし、こんな状態ではなかった。
中で腐っていたホイールに何年かぶりに負荷をかけた結果、割れてしまったようだ。つまり、3本のホイールの中でフロントが一番重症だったわけだ。こいつはもう捨てるしかないとして、なんとかスペアを分割できたとしても最終的にはこうなるとすれば、実用を考えるとやはり危険だ。
仕方ない、買うか。
ヤフオクを調べると程度様々で幾つか出ている。やっぱ綺麗なものは高いな。
仕方なく、うちのベスパに似合いそうな程度の2本セットタイヤ付きを落札した。送料込み6500円。まあこれも条件からすると安いけど、こうして資料や部品代が少しずつ嵩んでいくと、乗り出すまでにいくらかかるのかと考えてしまう。
とか言いながら、ベスパいじりには必要な専門工具もいくつか購入したりして。結局そんなこともまた楽しんでいるのだ。楽しめる人でないと乗れないのがこのバイク。
朽ちていくのを止めるのだ。
いつか高らかにエキゾーストを響かせながら、ベスパクルージングを夢見て。

優等生ではないけど

昨日は写真茶話会RRだった。参加者は久しぶりの大人数で8名。その中に昨年度の参加者であるラッキーさんともう一人ゲストも含まれていた。
そのゲストとは僕とラッキーさんの共通の知り合いであり、写真専門学校時代に講師として来ていただいていた方で、さらに昨年度のRR展で知ったのだが、僕のこの写真教育の師とも言える平木先生の同級生だったという、まさにスペシャルなゲストだった。
僕がこうして生業を変えながらも写真を教え続けているということを、本当なら平木先生にも伝えたかったのだが、先生は数年前に他界され、それも叶わなくなった。
RR展でその方にお会いした時に僕が作品の説明をしていると、「平木みたいなことを言うね」と言われたことがきっかけでその方と平木先生の関係を知ることになったのだ。
今回「いつか茶話会にもお邪魔します」と言われていた約束を守ってくださった。
僕が指導するアマチュア写真家たちの作品は、その方の目にはどのように映ったのだろうか。
僕自身が撮る写真なんて全くもって大したことはないのに、僕の写真人生はなんと恵まれていることだろう。ねえ、平木先生。


翌日、茶話会のために綺麗に掃除した工場(こうば)で、ベスパの続きをやることにした。
とりあえずエンジンがかかるようになったので、タイヤとチューブを注文していたのだ。
タイヤはミシュラン、チューブはダンロップ。中型以上のバイクなら少し贅沢なチョイスも、スクーター用なら意外なほどリーズナブル。前後のセットで6,000円弱だった。

まずはパンクしていたホイールから交換しようと思ったら、ベスパの鉄の分割式ホイールの固定ナットが錆び付いて固まっている。無理せずとりあえずCRCを吹いてタバコ一本分待つ。
そしてなんとか外れたナットとワッシャを小さな容器に入れてCRCをだばだばかけてシェイクする。これである程度サビが落ちた。
続いてホイールを分割すると、なんだこりゃ!

中までこってり錆だらけ。タイヤの中からザラザラと錆が出てくるし、チューブにも錆が付着している。あー
とにかくタイヤとチューブは廃棄だからよしとして、このホイールの汚れと錆落としで消耗した。まず油と埃で練り上げられた汚れをパーツクリーナーで洗浄し、グラインダーにワイヤーブラシを付けてごりごり錆を落とし、またCRCをつけて擦り。


なんとか組み上がったものの、結構疲れた。分割式だから余裕余裕と思っていたのに、これをもう一回、と思うと残念だが今日やる気にはなれなかった。

今日はリアだけになったけどとりあえず交換しようと、取り付けてあったバースト寸前のスペアと交換。の時に当然目に入るエンジン周りのコテコテ2スト油汚れが気になり出し、パーツクリーナーを吹いてちょっと擦ってみても落ちなくて意地になっていたらタイムリミットになっていた。
しかし、油どろどろの下からギヤオイルのドレンと注入口が発掘され、ブレーキワイヤーの固定が明らかになり、クラッチのレバー(アーム)も油コテコテの下から発掘されたことで、今後の整備の手がかりも見えたということでよしとしよう。
いやあ、SRXが優等生だっただけに、こいつは。

悩ましく感じるのは

朝出勤すると僕のデスクにメモが貼り付けてあった。昨日僕が帰った後、ある人から学校に電話があったみたいだ。
僕と連絡を取りたいとのこと。
一瞬、いい話かな?と思ったが、学校宛ではなくわざわざ直接話さなければならないこととは何か。もしかしたら残念な話かもしれない。
確かに、本来なら僕から電話しなければならない相手でもあった。
そういう礼儀を僕は少し面倒に思う性質がある。よくはないなと思う。

朝の朝礼が終わってから実習中に電話をしてみた。
内容はとにかく驚かされるものだった。
どこをどうすればそういう話になるのか、その直感と発想と判断には特殊能力さえ感じる。
そして聞き様によっては無責任とも思えるようなことだったが、自分の直感による判断に責任を負える人だからこそ言えることかもしれない。
それは同時に僕を悩ませる内容でもあった。

僕は今の仕事に出会った時から、舵取りを手放すことにした。だから自分の行く道に野心などなく、ここから見えるものに見せられるものに対し、ただただ丁寧に応えていくようにしようと思っていた。
しかし今回の問題に対してはどういう態度をとればいいものか。手放すということは誰かの言いなりになるということではないはず。ではあるが、機会というものに意図があるのだとすれば、この強引さにはむしろ意図があるように感じる。

今年もあとひと月ほどだというのに、問題は年を越したくはなく、少し動いてみるか。どうやったって答えを出せるのは先の話になるのだから。

そういえば、僕のベスパは車体番号から、1989年製だった。

生き返るってすばらしい


キャブレターはニードルなしのフラットバルブのみで、メインジェットの周りを囲むドーナツ型のフロートにめちゃくちゃ小さなフロートバルブ、に対してこのキャブの大きさにしては大口径のパイロットスクリュー。エアクリーナーボックスはフィルターまで金属製で、カタツムリのような構造をしている。
この大きさの中に少ない部品数でシンプルに必要な機能を満たそうとしている。
これも年式によって形が違うようで、購入した本の構造とは違っていた。僕のベスパはもしかすると再生産前のものかも。車体番号どこにあるんだっけ。また調べてみよう。

パーツクリーナーとキャブクリーナーで一通り洗浄して組み立てる。
単純な作りなのであっさり終わってしまい、逆にこれでエンジンがかかるのか少し不安になる。
全部の穴を確認したが、洗浄前に詰まっている箇所は見当たらなかった。内部もそんなに汚れてなくてフィルターにゴミが溜まっていたくらい。
オーバーフローの原因も、プラグがカブりまくっているのも結局原因がつかめなかった。
とにかく通りは良くなっているはずで、2ストだから単純に割り切れない原因もあったのかもしれない。

いまだに2ストって、理屈は分かっていても、それで回ることが不思議に思えてしまう。しかも高出力。だから魅力を感じるんだろうなあ。
パワーアップって言ったって4ストみたいに部品を交換するんじゃなくて、経路を広げたり狭めたり、その壁を鏡みたいに磨いたりという、財力よりも根性みたいなところがある。
それだけに不調が出た場合、どこかが故障?っていうよりバランスを崩した原因を探るような作業になる。

とにかくそんな2スト車がうちに来てくれたことが嬉しくて、それがまたベスパってとこがまたまた。
走る前から喜んでる場合じゃない。キャブを戻す前に一応ボディーの内部も洗浄し、取り付けるワイヤー類もグリスアップ。掃除しろと提案された時は、めんどくさって思ったけど、確かに取り付けもかっちり仕事できてよかった。
タンクも取り付け、さあ問題のこれ、

最後のこれだけは見えないところで手探りの作業になる。
フューエルコックのレバーの付け根はこのベータピンで固定されていて、コック自体はタンクの裏にある。
棒の先端とコックの小さな穴を合わせてこのピンを差し込むという職人技。しかも落下させればもう一度タンクとキャブを外さなければならない。
どんなに技術があっても知識があってもベスパが好きでも、最後はこのピン。最後は平等、みたいな計らいを感じさせる。
こんなところに苦戦し、1時間以上かかってやっと差し込めた。なんとかコツを掴もうと思考錯誤した結果、僕は職人になった。
この後キャブの調整で何度かタンクを外すことになるのだが、なんの迷いもなくできるようになったのだ。

しかし、エンジンはかからず。プラグは依然カブリっぱなし。
プラグは外してキックを踏むと火花は飛んでいるし、やっぱり原因はキャブか。
で、いろいろ試したので結局何が原因かは特定できないが、ある時エンジンがかかり出し、またすぐ止まるを繰り返し、回ってる間にキャブクリーナー吹いたりプラグを交換したり、ぐわーっと回転が上がったかと思えばモゴモゴモゴと止まり、バックファイヤしたり白煙だらけになったり、プラグを掃除してはパーツクリーナーどぼどぼで戻してまたキック。ガソリンも生を足したりしてみた。
もう一度キャブを調整し直そうと思った時に思い出したのが、あの繊細さのかけらもない太いパイロットスクリュー。多分あれだと少しの誤差でかなりの差が出るかも。
キャブを調整して組み直して、何度か同じことを繰り返していると少しずつ息が長くなってきた。おおー!アイドリングしてる!

エンジンがかかったので電装系のチェック。すべて正常、よしっ。
すかさずパンクしてるリアタイヤをスペアに交換して工場の中で発進チェック、クラッチもミッションも大丈夫。ブレーキもいけそう。
うわーこれはうれしい。生き返らせるってすばらしい。

今日はここまで


久しぶりにポケットマルシェに行ってきた。
Saltさんと並ぶ無茶ぶり選手権代表の堤さんから、なんと撮影の依頼があったからだ。
多分それは口実だとは思うけど、頼まれたからにはやるしかなく、そういうことなら出来映え云々よりも堤さんのポケマルにスタッフとしてスポット参加することに意味があるんだろう。
堤さんだけでなく昔の家具仲間や知り合いにも会えたし、カメラマンとして体を動かすのは楽しかった。
会場のスナップ、各ブースの記録、手応えとしてはまったく上手く撮れてはいないだろうと思う。いい瞬間にもあまり出くわさなかった。ただ忘れかかけていたけど、写真の仕事は孤独に淡々とする仕事であり、木工のようにほんとに独りで作業するのではなく周りにたくさんの人がいるだけに、耳をふさぐような孤独感があった。それは声をかけたり目配せをしたり、被写体とのコミュニケーションがあったとしてもだ。
自分が良しとした映像に、これでいいか、これでいいのかと問い続けながらシャッターを切るのは、作品撮りとは根本的な何かが違う。それがいいか悪いかではなく得意か不得意か。
結局午前中だけで500カットを超え、トータルでは600くらいシャッターを切っただろう。仕事量としては十分だけど、しかし写真は確率で、気に入られるカットが何枚あるかが問題だ。
それに関しては、ふっ、て感じ。堤さんごめんなさい。

連れて行った子どもたちは念願の風船屋さんができてご満悦。僕が会場を回っている間にスタッッフのアリサちゃんが気を利かせてさせてくれたようだ。
相当気に入ったみたいで帰ろうと言ってもなかなか帰らず、予定していた時間を2時間過ぎてやっと帰ることに。
もちろん帰りの車では爆睡していた。

帰ってからすぐ近所の子と約束していたスケートに行くと言ってまた出て行ってしまった。
なので僕は工場でのんびりベスパのキャブを外すことにした。

タンクを外し、手順に沿ってキャブは簡単に外れたものの、デロルトのいなくなった空洞はほんとに何もなかったが、しかしこの汚れよう。
これどうする?

キャブから漏れた混合燃料に砂や埃が泥のように堆積し、まあ汚いしまたキャブを外したジョイントあたりに溜まっているのはどうやって除去するのがいいのか。下手するとエンジンまで行っちゃいそうだし。
だいたいちょっと傾けただけでオーバーフローするちっちゃいキャブに、ついてるはずのドレンホースが欠落して見当たらず、そもそもホイールと一緒にスイングするエンジンとつながったキャブは常に振動しており、漏れないはずがない油がボディーの中をたゆたいながら砂埃を吸っていたのか。
選択肢:
1 このままにして洗浄したキャブをそーっと戻す
2 さすがにジョイントの泥は慎重に落とし、あとは見逃す
3 しっかり隅々までパーツクリーナーで洗浄
いずれにしてもドレンホースは追加するとして、さあどれ!

ベスパをいじりたいか


先日久しぶりに出動したパリダカも快調だったし、SRXも奇跡の一発セッティングが出てひと段落。
というわけで、そろそろベスパに取り掛かろうと工場の中のバイクの配置を変えた。

今日なんかはあちこちで文化の日にちなんだイベントが開催されているはず。
僕も去年まではプロップスフェスティバルが毎年の恒例だった。
去年10年目を迎えたプロップスフェスティバルは当初の予定どおり終了した。それぞれの色んな転機とともに。
わかっていたことだけど、なんにもないというのはまるで別の世界に来てしまった様。永田さんの工場(こうば)ももうあの場所にはなく、みんなが集う機会も場所もなくて、一年に一度お互いに刺激し合い、影響を与え合った時間や記憶は、それぞれの段階が進んで少しずつ薄れていくのだろうか。
今日何気なく訪れたいつもと変わらない休日は、以来僕の日常として定着してきたそのままの、ただ慌ただしく近所の子どもの相手をしながらバイクをいじるという、どこにも感傷などない一日だった。

さて、何から始めようか。

ラッキーさんの知り合いから譲っていただいたベスパは100。
ボディーは錆が結構きていて穴があきそうなところもある。エンジンはかからない。フロントはブレーキワイヤーが切れ、フォークもサビサビ。スロットルは固まっている。タイヤは前後とスペアまでつるつる。リアはパンクしている。
前オーナーの話ではウインカーも片方玉切れとのことだったが、そもそもエンジンがかからないので電装系は謎。クラッチも同じく。
ただ救いはキックしてクランクは回っていること。
話からすると購入されてから30年くらい経っていそうなのだが、そうするとほんとに僕の手元にあるバイクはあの頃に集中している。なんとか直して乗ってやりたい。
捨てられずに僕のところへ来たのだから。
人によっては鉄くず、人によっては形があるだけで価値があり、しかし走らせようとする者にとっては結構致命的な部分もかなりある。
フレームのないモノコックボディーは腐食で強度が落ちると危険だし、フロントサスは現状改善するには交換しかないだろう。
とろとろ走るくらいにはできたとしても、一体どれだけもつものか。
ただモチベーションはこの秀逸なスタイル。これに乗れるということに尽きる。

とにかく少しバラしてみようとフロントから取り掛かろうとして唖然とした。なんだこのバイク。さっぱりわからん。
ハンドルカバーはどのボルトを抜いても外れないし、ワイヤーやハーネスはモノコックボディーのトンネルの中。ウインカーレンズすら固まって外れず、外れたのはブレーキレバーだけ。
だめだキャブを見ようとシート下を開けると、意外とボディーの中は空間だらけ。なのにどうやって組み立てたのかわからないようなイリュージョン構造。モノコックだけにボディーは分解できないので、必ず手元が見えない作業がともない、ワイヤーハーネス類は電気工事よろしくトンネルの中を通さなければならない。
うーむ、面白い!!
独創的ではあるが単純な構造で、いじるにはベスパ職人でなければならないという、これはきっとハマるパターンな気がする。

写真茶話会撮影会 RR


今回の写真茶話会は人数が少なかったので、急遽撮影会をしようということになり、當麻寺へ行ってきた。

午後からは早めに帰らなければならない花火屋さんが午前中に現れ写真を見ることになったのだが、今回参加の連絡をもらっていたのは彼の他に写真館の奥さんだけだった。
写真館の奥さんにそのことを話すと、花火屋さんの写真が見たいので午前中に行きますとのことだった。
昼前に花火屋さんの美しい写真を見せていただいた後、うどんを食べて3人で當麻寺へ。
もっと下調べしてどこに行くか考えておけばよかったのだが、花火屋さんのその後の都合もあるし、近場のお寺へ行くことになったものの、関心のないものになかなか撮欲も湧かず、3人とも苦戦してしまった。
僕自身、撮影会なんてと思っていたが、これはこれで難しいもんだ。撮影会のレッスンプロが存在するのも頷ける。
撮影は1時間弱でギブアップして、SIGNへ戻ることにした。
こんなことも楽しいけれど、もしまたやるならちゃんと準備が必要だと思った。僕にとってはα6000のテスト撮影も兼ねていた、というのが言い訳である。

その苦戦の跡を恥ずかしながらお見せしようと思う。






キャブ完成、試運転


キャブを組み立て試運転をしてきた。
ジェットとニードルはキースターの燃調キットによって全ての番手を下げてみた。
キットに入っているいくつかの選択肢の中から予想を立てて選んだジェット類。とりあえずこれで走ってみてまた調整するつもりだったのだが、プラグを確認してみるとほぼジャスト!
こんなこともあるんだね。
スロー側にまだ少しカーボンが溜まっていたので、この辺はパイロットスクリューで調整しようと思う。スローは少し濃いくらいが走りやすいかもしれないし、キックスタートもね。
おお、これでもう開けなくていいのか。意外とイージーに完成してしまった。

そして乗り味はどうかというと、ふふ、あのゴリゴリ感は残されたまま加速が良くなっていて、エンブレもそこそこ効き、そしてパワーバンドも広がっている。
今まで使えなかった3000回転以下もゆっくりだけど2000くらいから吹け上がるようになった。
振動が少し気になるが、このマフラーでは仕方がないのか、一度アーシング外してみようかな。

やはりレッドゾーン手前の頭打ちはまだある感じだけど、ノーマルマフラーでここまでなら上等。
とにかく、速くなってしまった。

キャブレター洗浄




泥は落としきった。
一応古いジェット、ニードル類もストックとして洗浄しておいた。

夜のキャブ分解は

夜の10時から工場にこもる。昨日外したキャブの分解をした。
この辺りは山の麓だからこの時間だと誰もいないみたいに静かで、仕事に集中できるなあ。
一度だけ若者たちのスクーターの群れが通り過ぎ、どこへ行くやら山の方に走って行った。気を使っているのかうちの前を通る時にはアクセルパーシャルで、山の方に少し登ったところで例のリズムを刻んでいる。かわいいね。

しかしだ。ひとつひとつパーツを点検しながら分解していくと、ところどころ気になることがある。うーんichiくん、これは…

このSRXはichiくんから譲り受けたもので、SRXマニアの彼が何台分も所有する車体パーツを組み上げて作ってくれた贅沢な一台であった。まさに宿命のバイク。
だから当然キャブも今回の分解の前に手を入れたのはichiくん。
確かそういえば組んでる時にグリスがどうのとか言っていた。キャブレターに使えるのはあの白いフッ素系のグリスということで、僕に持ってないかと聞かれたが、探して見つかった時にはすでに自分で買って組んでいた。僕はキャブの内部にグリスを使ったことがなかったので、へえーという感じだった。外の可動部に塗ったり、へたったパッキン再利用の時とかには塗ってたけどね。
そこで、ichiくん参考にしてね。
分解していくとなんだかいくつかのパーツが粘土みたいな粘りでコーティングされてるみたいな状態だった。
この粘りには覚えがあって、ゴムパーツに付いたそのフッ素系(テフロン)グリスが時間が経つと変質し粘土状になるのに似ていた。多分そのものだと思うのだが、あえてそれを気密性を高めるためにそうしているのかもしれないのだが、これ。

ニードルバルブを外すとその奥に何かある。最初は埃か?と思ったが、取り出してみるとグリスとも言えない粘土状の塊だった。
場所的にもしかすると、アクセルを開け気味に走るとエンスト症状が出ていた原因はこれなのかもしれない。
それでも塗った方がいいのかな。この情報はどこから?

ほかにもOリングやネジの類に灰白色の粘土状のものが付着していた。
予想だけど、ガソリンによって油分が失われたグリスの中の油に溶けない成分であるフッ素が固着しているのかもしれない。

とにかく今日は全部バラすところまで。外観はきれい、とはいえ中身は時間を感じさせる内容。ジェット類とニードルバルブはキースターの新品に替えるしおそらく調子は良くなるだろう。
次回はとことん洗浄と、ジェット類交換。

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