調味料入れ
W280×D60×H65
材質:アメリカンチェリー
塗装:無塗装
ストーリー
ある日、仕事中に電話がかかってきた。知り合いのまみんさんからだった。
なんだか焦った感じで、
「湯浅君、仕事頼みたいんだけど、塩入れできる?塩入れ。」
塩入れってなんだ?
「今度の日曜の夜までに作って欲しいんだけど、できる?」
何をどれだけ、いくらで、という情報がまったく欠落している。
「塩入れってどんなものですか。ちゃんと説明してもらわないと、なんとも言えませんよ。」
「じゃあ、今日の夜行っていい?」
「今日の夜はだめです。明日なら、」
「じゃあ、明日の朝に行きます。よろしく。」
といって電話は切れた。
まみんさんはフラワーアレンジメントの作家であるが、作品で木工を加えて使用することから、設計事務所から小物の製作を依頼されることがあるらしい。
今回は炭焼きBarで使用する調味料入れを頼まれたのだが、構造的にも数量的にも時間的にも自分では無理と判断したため、僕にふってきたというわけだ。
さあて、タイムトライアル・スタート。
図面はざくっと書かれたラフなもの。
数は7つ。
その図面のはしっこに「直接塩入れ、白木で」と書いてある。
だから「塩入れ」か、納得。
大きさは小さくとも、仕事の量からすれば手間がかかる。
使いやすさなんかも考えれば、5部屋の仕切りは外せた方がいい。
さじを入れる切り欠きもいるな。
仕上げも手を抜けないし、デザインだって多少は考える。
材質もこっちは家具屋だ、家具屋の作る塩入れなんだ。
なんて言ってるとまたまたやりすぎて、でも出来上がってみれば、なんかいい感じ。
絵本に出てくる建物みたいだ。
7つ並ぶと物語ができそうな雰囲気。
意外な仕事だったけど、よしとするか。
納品して後日、まみんさんからメールが入った。
「こんばんは。先日は注文の品物で無理をいいました。σ(^◇^;) 昨日納品して、よろこんでいただきました(^-^)v ありがとうございました(^-^)v」
この顔文字ってのはどのくらい喜んでいるのかを表現するものらしいが、僕にはあまりよくわからないなあ。
よしとするか。