これから数日、柿渋のにおいに
2010 年 1 月 15 日 by SIGN
今回の収納ベンチは、以前作品展示台を納めさせていただいたギャラリーからの注文で、その展示台と同じ柿渋塗装をする。
仕上げ塗装として柿渋を塗るというのは結構手間がかかるし、やっかいだ。せっかく磨いた表面もけば立ってくるし、ムラも出やすい。重ね塗りすると色が変わるので、各部分同じ回数、同じ塗り方をしなければならない。
今日は一回めの塗装をして乾燥をした。乾くと色が想像以上に濃くなる。
柿渋は着色塗料でもあるが、防虫防腐防湿効果と木を引き締める効果もあるらしい。そういう性能を持った、伝統的な天然の木部保護塗料なのだ。
いまどき、もっと手軽な塗料はいくらでもあるけど、これを使えるのはオーダーメイドならでは。手間がかかることを敢えてするという価値を、どこまで買ってもらえるか。
僕のやり方では、一回めの塗装は下地塗りで、柿渋の引き締め効果で表面を安定させるため。一晩乾燥したらこの色を半分くらい削り取って磨いて、二回めの塗装をする。そしてまた乾かして磨く。また塗る。回を重ねる毎に薄くのばすように塗り方も変えていく。そして最後はワックスでコーティング。
漆にすれば、という人もいるかもしれない。それもありだけど、柿渋には柿渋の良さがある。