誰が一番に座るのか、誰の椅子なのか
2011 年 7 月 28 日 by SIGN
友人から頼まれていたイージーチェアを納品してきた。
分かる人が見ればこれはあの有名なデザイナーのデザインした椅子であることに気付かれるだろう。
微妙なディテールのアレンジはあるけどほぼ同じ。
これはある意味ルール違反だけど、よく似てる物を作って自分の作品とするのとは違うと思っている。
気にする人へ、プライベートな依頼でこれっきりなので許してね。
最初この椅子を僕に作って欲しいと言われた時は、完全コピーなんてするつもりはなかったし、その時思い描いていたアレンジもあった。
そのつもりが、サンプルで貰った写真からとりあえず図面を起こしてみると、そこには美しい数字の結界があった。
さすが、すごくよく考えてある。しかもデザイナーと職人が話し合いながらせめぎ合いながら練り上げていった跡も感じられた。
それに彼より技術のない者が下手なアレンジを加えるとすれば、途端にバランスを崩してしまいそうだった。
どうしようか迷う前に、僕はこの椅子を作ってみたいと思ったのだ。図面でトレースする以上にもっと彼の考えを知りたい。
こんなことを思ったのは初めてだった。
オーダーメイドでお客さんのために一点もののデザインを考えるのがSIGNの売りである。
誰かの真似であったり、何々風というのもできるだけ避けてきたつもりだった。
友人からの依頼ということもあってか、今回だけは勉強したくなったのだ。
そう思いながら作るのは意外や楽しかった。
50年以上前に考えられたデザインから、そこに刷り込まれた手紙を読み解くような感覚があった。
当時の職人と同じように、対話しながら作っている気持ちになっていた。
やはりデザインとは様々な情報が詰まったメッセージなんだと思う。
使われることでそれらは伝わるべきだが、実践して作ることによってしか解らないこともある。
そんな気がした。
友人はこの椅子の出来にとても喜んでくれた。
無理な要望を受け入れて制作してくれたことに感謝しています。
SIGNの信念というかポリシー的なものは、朧げながら感じておりました。
昨日は、御伝えできませんでしたが、どうしてもこのチェアーが欲しい理由がありました。また次回に御伝えしますね(突然の腰痛で・・・)。
近い将来、ちょっくらサクセスしたら、今度こそ真のSIGNの作品を注文します。
有り難うございます。
P.S. 長野に行きましょう!
腰痛大変そうでしたね。お大事に。計画のためにも。
今回の仕事は勉強になりました。デザイン云々よりも、よく考えること、手を抜かないこと、いい仕事をし続けることが大事だということを。
何かを変えようとするよりも今までやり続けてきたことは変えてはいけないことだったんですね。
長野行きの話、実は電気屋さんにはひとつのハードルを与えられています。行けるかどうか今はわかりません。
「何かを変えようとするよりも今までやり続けてきたことは変えてはいけないことだったんですね。」これは、結構重い言葉ですね。変化を恐れる人もいますし、変化を望む人もいる。何かを変わらずにコツコツとやることが一番難しいのかもしれませんね。
長野の話は気長に待ってますよ、いつか行きましょう。