最近の僕に会った人は、僕のぼさぼさの髪型を見て長髪にしたいんだろうかと思ったかもしれない。
でもけっしてそんなことはない。
不精なのもあるかもしれないけど、散髪をする金がないのが一番の理由。なさけない。
しかしもう気分的に限界で鬱陶しくて帽子をかぶらなければ作業もできなくなってきてどうしようかと思ったら、ひとつ思い当たることがあった。
以前仕事させていただいた美容室あんずさんから依頼されていたことがあった。
そのお店の前に植えられていた杏の木が枯れて処分することになり、風草木の森川君がその木を抜いてうちへ持ってきた。
あんずのオーナーがその木を使って何かを作って欲しいということだった。
抜いたばかりの木だからある程度乾燥しなければならなかったが、洗って風通しの良い日陰で干しておいたにもかかわらず、数カ月過ぎて断面が少しずつひび割れてきていた。
そろそろなんとかしなきゃと思って、何を作ろうかと考えていたところだった。
半分生木のものから作れるもので、この木へのオーナーの想い等を考えると、実用品ではなく何かシンボリックなものがいいような気がした。
お店と同じ名前の木なのだから。
「あんず」は女性の名前であることから、その木から生まれるもの。卵。
当然木は卵を産まないが、世代を継承する命の象徴として卵にした。
もらった幹からはちょうどひとつしか取れなくて、残った細い部分でそれをのせる台を作った。それは木の上の巣をイメージしたものでもあり、地面から生えた腕のようにも見える。
さて、オーナーは気に入ってくれるだろうか。
こいつをぼさぼさ髪のカット代にしてもらうつもり。
今どき物でお願いするってどうよ。
そう、午前中こないだ木工教室をした保育所の子どもたちがSIGNに訪ねてきた。
近くにある公園に散歩に行く途中だったらしく、あの時の子どもたち29人と先生とでどやどやと工場見学。「いっぱいきかいがあるねえ」とか言いながら。
主任の先生も一緒で、あらためて研修のお願いもされてしまった。
来年1月末に保育士の先生30人に積み木パズルを作るやつと例のワークショップのどちらもいっぺんにやることになった。