前日、吉野町に地域おこし協力隊として就職した今年の卒業生と会う機会があり、最近の近況や吉野についていろいろ話し込んでいたら、とにかく行こうということになり急遽視察ツアーとなった。
まずは製材所のひとつで、そこの専務に会いたかった会社に訪問した。製材の命である帯鋸の目立てを見学しながら就職に絡んだお話を少しさせていただいた。やっぱり面白そうな人で、興味深い話が聞けた。
次に行ったのが山奥の廃校になった小学校や幼稚園。それがあった村はかつて吉野材で作る箸の製造が盛んであった場所。今も産業として残ってはいるものの、工場の数は全盛期からすると4分の1に減っているという。
高級高性能である吉野材の独特の育成過程において必ず出るのが間伐材。今に始まった事ではないが、この利用が大きな課題ではある。山から出た木材を買い取り、バイオマス発電に利用しようとするも、それには採算度外視の経費がかかっている。
間伐材とはいえ、それ以外の利用もできそうな木材が見渡す限り山積みになっていた。
僕がただ会ってみたいという思いつきで、アポなしで突然お邪魔してしまった。
女性の作家で、吉野の木と和紙で明かりの作品を制作されている。ただ照明の作品を作っているというだけでなく、ライトセラピーを学ばれて研究している方だった。
予約制のワークショップもされていて、行った時はちょうどその真っ最中。にもかかわらず色々お話を聞かせていただいた。家具工芸科の卒業生ともつながりがあるそうだ。
最後の帰りがけに、今回案内をしてくれた協力隊の卒業生が別件で町議会議員の方と電話で話をしていたら、僕にも会ってくださるということでご自宅まで呼ばれてお話をさせていただいた。
その方の、町を良くするのは会議の中ではなく自ら現場に行って行動し、人に会うことだという姿勢がとても気持ち良く、共感できた。話せば話すほど自分が吉野の人間であるかのような錯覚を覚えるほどだった。しかし、その方の言うには、自分たちが変わりその姿勢を見せることで他や外に共感してもらい、いずれみんなを変えていくことを望んでいるということだった。
それを木でする、っていうんだから本当に木が好きなんだというのが伝わってきた。
翌日余韻を感じながら、どうにも止まらないフロントフォークのオイル漏れ問題をなんとかしなければと、とりあえずスタンドアップした。
オーバーホールするなら少し時間がかかるが、一気にせずに少しずつ進めていこうと今日はホイールとフェンダーを外して終わってみた。
放っておくと何もしないが、少し進めておくと、その次にすることも少しでいいならと気重にならずでき、確実に進んでいくように思ったからだ。
さらに作業をしながら思いついたことも追加したりして、最終完成して走り出す時には当初の問題を解決する以上のスペックに仕上がっているかもしれない。
もちろんその分自分で労働しているのだけど、クライアントとしての自分は不思議と別の意識で完成を楽しみに待っている。