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書道家のデスクとチェア

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書道家のデスクとチェア

書道家のデスクとチェア

書道家のデスク・uteki
フットボード付き
W1300×D800×H750
材質:ウォルナット
塗装:オイル、ワックス

書道家のチェア・RIDER
W420×D430×H690 SH480
材質:ウォルナット
座面:成形合板、チップ芯、ビニールレザー
塗装:オイル、ワックス

ストーリー

この作品において、僕はひとつの答えにたどりついた。
それは、僕が家具によってなすべき使命のようなものだった。

この家具の注文をくれたのは、女性の書道家である雨滴さん。
御主人との新居を改装中で、いずれその新居で書道塾をするつもりだいう。
その家とは、古い日本家屋だったが、現代風のアイデアが盛り込まれたリフォームがなされていた。
打ち合わせの時、デスクとチェア-が欲しいと言われたので、僕は彼女の身体の各部分の採寸をしていった。
用途は、書道をするためのデスクであり、椅子に掛けてはもちろん、立っても書くと言う。
つまり、立って天板を見渡した時の目線の角度と、座って見た時の角度を同じくらいにしなければならないということだ。
そのあたりの数字に関する問題をどう処理するかを考えながら、とても和やかな会話の中、その時、僕は彼女と御主人の印象を何気なくノートに書き留めていた。

いくつかの希望はあったが、基本的には僕にまかせてくれるという、僕にとっては望むべき仕事であった。
メモしてきた寸法を図面に書き込んでいく。
数字に関する問題は簡単に答えが出せたが、本当の難関はその構造とデザインだった。
オーダーメイドである以上、すべての部分に必然性があるはずだ。いや、それがなければただの手作り家具でしかない。
天板のディテール、脚部の構造、細部にわたる寸法と角度。
なぜそうするのかという答えが欲しい。
打ち合わせの時メモした数字は、何も導いてはくれない。
そう、デザインには数字になおせない情報が必要なのだ。
僕はノートの隅に走り書きした二人の印象を眺めながら、二人の姿をイメージした。これを形に反映させなければならないと思った。

小柄で華奢に見えるが、スポーツをやっておられるので筋肉質な印象もある。
御主人もまた空手をされるスポーツマン。
繊細で精緻な作業を受け止める天板、書いている時は何にも干渉されないように。
その彼女の世界を、見えないところでしっかりと支える御主人の想い。
彼女の作品。
静と動。

何もないところから形を作り出していくのだから、作り手はその形に責任を持たなければならないと思う。
僕がたどりついた答えとは、オーダーメイド家具とは、まさに肖像、ポートレイトであるということだった。
その人と、その人を取り巻く環境を、ひとつの家具で描き出す作業。
もちろん、僕というフィルターを通したものである。
それは、僕がかつて写真でやろうとしていたスタイルだった。
表現手段が変わっても、僕がやるべき仕事とは、やはり人だったのである。
この仕事は、僕にそれを気付かせてくれたのである。

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