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木で形を作るだけでは生き続けない

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独り言か古い椅子に話しかけてんのか »

木で形を作るだけでは生き続けない

2010 年 4 月 13 日 by SIGN

あんずのいす
シェルフの注文をいただいている美容室から、古い椅子を預かってきた。
いただきものらしいのだが、少し汚れており、座面のレザーも2箇所小さな穴があいていた。多少すれた感じで塗装もはげている部分があり、それらを削り取って再塗装し、座面も張り替えできないかという相談だった。
しかし、いただきものだけに、自分が気に入っていて絶対に必要というものでもなく、きれいになるなら店で使おうかということ。さらにこれにかかる金額的にもあまり出せるものでもない。
ほかのお客さんにもよく誤解されがちだが、修理というと安く思われる事が多い。たとえ修理でも本気でやったら一脚買えるぐらいの値段になってしまう。それでも使いたいという気持ちがあるかどうかなのだ。
もちろん修理専門でやってるところはあるけど、それはひと月にこなす量が多く、またそんな仕事を斡旋してくれる業者とつながっていたりするので安い。
僕がこれをやる意味は、お客さんとの関係とその想いにつきる。

座面を外し、水をつけたブラシとウエスで洗い上げた。ほこりやカビやそのほかの汚れでたちまちバケツの水はどろどろになった。そんなに汚れているようには見えなかったし、洗った後もそんなにきれいになったようにも見えないのに。
しかし表面の汚れは落としても、刻まれた時間は落としたくはない。それは僕が作る家具への想いもある。家具にはやはり、使い続けられた時間の蓄積が風格になっていく素質が必要だと思う。そういうものを作りたいと思う。

作業をしながら、その美容室に納めるシェルフのことを考えていた。
クリスチャンの友人の食卓のデザインが振り出しに戻ったので、先に次の仕事をこなそうと思ったら、なかなかこちらも難しい話になってきて、今、四六時中妄想にふけっている状態なのだ。
オープンシェルフで何が難しいの?と思われるかもしれない。そうではない、それだけではないのだ。
僕のオーダーメイドは依頼者の肖像画だと偉そうなことを言ってきたが、今回はとんでもないことになっている。この世にいない、存在したこともない、しかし依頼者と共に生きている人を描かなくてはならなくなった。
このごろ、僕の仕事は。

Posted in 製作日誌

5 Responses to “木で形を作るだけでは生き続けない”

  1. on 14 4月 2010 at 8:06 AM1電気屋です

    やはり湯澤さんではなく湯浅さんいいですね。
    仰るとおりです。
    私も時々同じようなこと頼まれたり、私の家でひらって来た一度壊れた家具などをなおして使っているのを見て「いいわねー、すぐ直せるから」などと言われると心では{お前に俺の苦労がわかるか!」と、ムッとしながらも、「はい、ありがたいですー」とか言うときあります。
    特に椅子などは作ることも大変ですが、がたつき、傷、欠け、塗装のはがれ、風合いなど、元から華奢など、初めから作った方が良くない?
    って本当に思います。
    そんなわけわからん人に限って「いくらで出来る」など聞いてくるのでついには「新しいの買ったら。」とか「誰でもやる気になり時間をかければできるんじゃ、それを私は実際に手を動かし時間をかけてやっているだけ、あんたやれよ」と本音も出てしまう。

    聖書を書いた方の行動パターンを見ていて不思議になることが多い、それは最初から作った方が早くて、楽で、効率いいのではないかと思うからです。
    何故に、古くてねじ曲がり、癖が強く、壊れかけの(てる?)ものを、なおして使おうと思うのだろうか。
    価値が極めて高いならいざ知らず、見るとそうでもなく、どちらかといえばどうでもいいみたいなものを、。
    彼にはそれをつくるちからがありながら、、。
    歴史のあるものを修理することはその時それを作った人の思い入れや、情熱を探ること、それと同じか、それ以上のパッションか技術がないなら手を出すべきではない。
    大量生産の家具?に修理して使う価値など無い。
    しかし、もしそのガラクタに、それを使った方の思い出が一杯詰まっているなら無駄をあえてやることもある電気屋です。

  2. on 14 4月 2010 at 5:55 PM2SIGN

    安く買って長く使おうという人、結構多いですよね。
    欲しいものがたまたま安かったらいいんですけど。「これいくら?」って言って買った人が「いくらで出来る?」って聞くのは当然ですよね。
    でも、直しても使おうという方が、まだ物を大事にする気持ちは残ってる気がしますけど。

    僕は修理やリフォームの依頼があれば、正直に値段を言うようにしています。それで発注するかしないかはお客さん次第ですから。
    最初見栄え良くて安くて、使ってるうちにすぐ悪くなってどうにもできないような物を、作って売ってる人がきっと悪いんだと思います。

  3. on 17 4月 2010 at 8:35 AM3電気屋です

    おっしゃるとおりです。
    なおして使う良いことですね。
    家具もですが、家もそんな状態で、
    ”最初見栄え良くて安くて(やすくないし)使ってるうちにすぐ悪くなってどうにもできないような物を、作って売っている”
    たとえばクロス(壁紙)の良さはわかりますが、塗り壁の様なクロスや、木の様なクロス、果てはタイルの様なクロス(しかも本物のタイルより単価高いし)塗装もその時だけ良くて工期が早いものを使ってそれでもプロか、職人になれよ!家まで消耗品なら固定資産税外してくれ。
    と思ったりしますが、それを喜んで買う方が沢山いるのですからこっちがおかしいのでしょう。
    違いのわからない男電気屋です。

  4. on 17 4月 2010 at 8:53 PM4SIGN

    電気屋さんは、違いがはっきり分かり過ぎてる人のように思いますが。
    違う物にぜんぜん興味がないという人、これまた僕の周りには多いタイプです。

  5. on 19 4月 2010 at 6:53 PM5電気屋です

    湯浅さんは本当にいい方なんですね。
    私はあまりにもがさつで反省中です。
    私のコメントはうち捨てて
    どうぞ、お仕事こだわりを持ってますます精進できますように、あと音楽の趣味素晴らしいですね。
    私は自分でやらないのですが、3人の子供達に
    是非やってほしい3つのうちの一つが楽器演奏でした。
    今、大人になった子供達の奏でる音を聞いて満足している親です。では

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