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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

僕がはじめてカホンを目の前で見たのは、10年近く前になるでしょうか、和歌山のバグ-スでのライブイベントで、確か「風の楽団」か「天空オーケストラ」のどちらかの演奏で、パーカッションの人が叩いてたのを見た時でした。
マイクは通していたものの、その音には驚きました。どこにもドラムセットはないのに、聞こえてくるスネアとバスドラの音。見ると端のほうで箱に跨がって叩いている人がいて、どうもその手の動きとリズムが合っているのです。
昔から民族楽器が好きだったので、あれがカホンであるということはなんとなく分かったのですが、音を実際に聞くのは初めてだったし、まずあの音が出てくる構造が想像できませんでした。そのころは僕はまだ木工とは別の仕事をしていて、まさかその道へ進むことなど考えてもいなかったのです。また、自分でカホンを作ることになるとは思いもしませんでした。

その後いろいろあって僕は家具の師匠と出会い、弟子入りして修行をすることになりました。当然そのころは頭の中は家具の事ばかりです。
短期間で技術を習得させ、卒業させるのを方針としている師匠でしたから、よけいなことなど考えていられません。その期間内で、僕は一通りの事をやり尽くそうと必死でした。
その卒業間近に、一門と師匠の知り合いのいろんなジャンルのアーティストが集まって、大きなグループ展が開かれました。修行中の僕もはしっこの方に作品を展示させてもらえることになり、修行中の余った材料で作品を作りました。
そのとき、僕は修行の流れで、タイムトライアルをしよう、と考えたのです。そしてなぜか、作るものとして選んだのが小さな子供用のミニカホンだったのです。
作り方は何も知りませんから想像です。余ってた材料ですから、なんのこだわりもありません。そのときはなんと厚さ30mmの杉板でボディーを作り、トップは2.5mmのシナベニアでした。響き線もどうなっているのか知りませんでしたから、ステンレスの番線でスプリングを作り、トップの裏に接着しました。サウンドホールは円ではなくスリット。そんな構造ですが、意外といい音が出て驚いたような気がします。
そのときの僕の目的はタイムトライアル。その結果は、ボディーは30分で一個作り、全部で9個仕上げまで完成させるのに2日でできました。意外と早くできてグループ展までの時間が余ったので、さらに同じ材料でイージーチェアまで作りました。
写真を見ていただくとおわかりのとおり、もうそのときにSIGNカホン-miniの原形はできてたんですね。
なんとこれはすべて完売しましたが、音質は今とはくらべものになりません。いい音がするスイートスポットが非常に狭く、ほかのところを叩くとべんべんという安っぽい音がしてました。

しかし、もし、SIGNカホンがもっと有名になったら。こいつはビンテージSIGNカホンとしてプレミアがつくかも。
いや、そんなことはないでしょうけどね。

ウエストビレッジに進出

といってもこれは楽器屋さんの名前です。
奈良にあるマニアックなギターばかりを扱う、知る人ぞ知る楽器屋さんなんですが、ウェブ上では全国ネットで有名なお店です。
ここの店長である西村さんと、また改めてここで紹介しますが、オーダーメイドカホンV-158の持ち主である堤さんが知り合いで、紹介をしてもらったのです。
作りはじめてからいずれとは思っていましたが、自分なりに納得できるレベルにいくまでは楽器屋さんに置くのは早いと考えていたところ、V-158の出来を見て、堤さんが「置く気はないのか」と持ちかけてきたのです。
僕も最初は戸惑いました。僕は家具屋で、確かにカホンを作るのは家具とはまた別の楽しさがあり、作ってる時や新作を構想している時はすごくわくわくしますが、どこまで本気になっていいのかという迷いがあったのです。
しかし、これはチャンスかもしれないと、堤さんにつれられ、SIGNカホンと、メイプル-Vと、miniをひとつずつ車に積んでウェストビレッジへ向かいました。
着くやいなや、西村さんがにこにこして出て来られて、カホンを店に運び入れる前にその場でドコドコ叩きはじめ、打面だけでなくあちこち叩きまくられたのです。店に行く前に堤さんから連絡は入っていたようで、それにしても、触ってすぐ「置いてもいいよ」と言われたのには驚きました。かなりこだわりの店だと聞いていたからです。
店内に置いてあるギターの数々はすごいものばかり、まさにマニア垂涎というやつです。そこへ僕のカホンが置いてもらえるなんて。お客さんはプロ、セミプロばかり、二階のスタジオでは各楽器の教室が開かれ、デビューを夢見るバンドがひっきりなしに訪れる場所です。
ちょっと見せてアドバイスをもらえる程度かと思っていたら、あっさりOK。僕は次にどういう話をすればいいのか、話の展開の早さに頭が混乱したくらいでした。
僕がもごもご言ってると、とんとんと西村さんは売るスタンスについて話を進め、一番僕にとっていい結論を出してくれました。
ウェストビレッジでは紹介をしてもらい、僕は直接お客さんと話をし、その人にあったものをオーダーメイドするというものです。価格も直接交渉。
ええひとや西村さん。
その話のあと、もっとアートなカホンが作れないかというアドバイスもいただき、がぜんやる気が出てきたというわけです。
その日、持っていったカホンは全部サンプルとして店に置いていただけることになり、紹介してくれた堤さんも喜んでくれ、帰りにジンギスカンをおごってくれました。

まだ、ウェストビレッジからは連絡ありませんが、何人か興味を示している人がいるということで、うずうずと気合いが高まってきているのです。

カホンへの想い

やっと移植も終わり、やっと日記が書けます。

作るたびにカホンという楽器の奥の深さを知り、楽しさを知り、作っているうちに変化してきたまわりの環境なんかを考えると、これは僕のライフワークにしていきたいと思うようになったのです。
今は、誰よりもカホンについて知りたいと思うし、独自のノウハウを編み出していきたいし、ディテールや美しさにもこだわっていきたいし、そして誰よりもいい音がするカホンを作りたいと思っています。
今やブームなのか、全国各地でカホン作家が増えていて、自作する人も多いですが、僕は売ることよりもとにかくいいものが作りたい。本気でいい音がする楽器が欲しいという人のために作りたい。
といってもカホンの認知度はまだまだ低く、また、安く手っ取り早い便利なパーカッションとしてとらえられがちですが、それを覆すくらいの気持ちで、僕は作っていくつもりです。

僕がカホンに惹かれるのは、何の飾り気もない四角いハコだというところ。
なのにいろんな音が出て、叩くと楽しくて、初心者でも簡単にバンドに参加できたり、うまい人なら魔法のハコにもなっちゃうところ。
そのためには、やっぱりいい音出ないと。木の箱ではなく、なんのストレスもなく楽器としてのレベルでないといけないわけです。

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