天理の会議机(12人掛け)
W2400×D1300×H700
材質:タモ(天板)、ニヤトー(脚部)
塗装:天然オイル、ワックス
ストーリー
奈良県天理市にある池本さんのオフィスに、12人掛けの会議机を納めさせていただいた。
オフィスと言っても、御覧のとおり和室を改造したもので、床は畳を外してフローリング、床の間にスチール棚、押し入れのふすまはそのままに、コンクリートの壁にアルミサッシ、の前に障子、入り口は木製引き戸。
コンセプトがあって、和室を洋室に改造したのではなく、必要を満たすためだけに、その空間をそう使っているだけなのだ。
池本さんの副業はアーティストであり、決して空間に対するセンスが悪いわけではない。
ただ、組織からあてがわれた作業場としての部屋、だった。
その池本さんから依頼があった。
少しずつ、ここの環境を良くしていきたい。
予算の都合もあるので、まずは会議机から。
それまでは、折り畳みの長机に白い布をかけて使用していた。
さて、この部屋にあう会議机とは。
サイズに関してだけ指定があった。六畳二間をつなげた部屋に納まり、最高12人が掛けられるサイズ。
それは一人分を600としたこのサイズが、精一杯だと思われた。
しかし問題は、どういうデザインにするかだった。
和風に偏ることはしたくなかったが、それを多少意識しなくてはいけないような気がした。
もちろん、シンプルすぎてその空間に没してしまうような、
機能性だけの会議机でもだめで、それならオーダーメイドする必要もない。
いや、そういうことでもない気がする。
池本さんが僕に依頼した理由。
池本さんのデスクから、見える姿を考える。
いろんなものが混ざりあう空間、混ざりあう人、話、奈良、天理。
梯子に組んださんの上に、はぎ合わせず、並べただけの耳つきの天板。
流れの隙間からのぞく構造。
和風ビルディングが立ち並び、駅前の繁華街を黒いはっぴを着た人々が闊歩する街の、とあるオフィスの会議机。