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SIGNのポリシー、オーダーメイド家具の魅力

あなたと、あなたをとりまく環境を
肖像画を描くように、一つの家具で 描き出す作業
それが、僕が考える オーダーメイド家具の製作です

高性能な楽器


先週の日曜日に開催された専門校展の振り替え休日で、久しぶりに平日の休みができた。
だけど、天気は雨。
この季節たとえ晴れていたとしても走るのには躊躇する。
独りになれる時間を独りになれる場所で過ごす。かつては日常だったこと。
SIGNの工場では何も迷うことなく、すべてある物の位置まで感じ取れるビオトープ。自分の場所といえる場所がある。
断熱性などほとんどないのに、学校の実習場より暖かく感じるのだ。薪ストーブを点ければさらに暖かい。
貴重なこの時間をバイクをいじることに使おうと、この休日が決まった時から決めていた。
ほかにやらなければならないこともあった。考えなければならないことも。それらをすべて忘れて楽しもうと。


普段の乗り方からしてもメーターバイザーは付ける気は無かったのだが、寒さ対策と、いつか高速を走るツーリングのためと思い買ってあった。もちろんスタイルに影響しにくいクリアタイプで、最近の3次元的な曲面のものだ。オリジナルの雰囲気は変えたくないので。
でもまあ、似合ってるんじゃないの?

次にこのバイクを譲り受けた時につけてくれたWMのステンレスマフラーに交換するためにノーマルマフラーを外す。
前に乗ってた4型の400で経験していたのですんなり外せた。まあ、サービスマニュアルにも載っていない外し方の手順があるのだ。
外すと錆と傷が結構ある。これはまた取り付ける前に補修しておきたいところだ。
それにしても面白い形のマフラーだ。アイデアが詰まっている。

そして交換したWMのステン。実は見た目はあまり好きではない。
SRXはビンテージでもクラシックでもなく、新しい流れとして当時デザインされたバイクだから、何かに似ている部分というのがほとんど無い。だからオリジナルのマフラーはその造形もSRXにとっては重要なパーツであるとSRXファンなら誰しも思うところ。
しかしこいつはどう見てもクラシカルなドゥカティを意識したバットのような形、もしくはコンチマフラー。
ただそれでも付けてみたかったのは、当時WMはこれを高性能マフラーだとうたっていたこと。こんな形状でありながら内部にチャンバーがありバッフルまで複雑な構造と経路で、それをステンでシームレスに見せるということは、あえてこの形に収めようとした意図があったことがうかがえる。
もちろん性能においてはスリップオンでパワーの出るマフラーを目指していたみたいで、WMが常にこだわる音にも自信があるようだった。
それが目の前にあるのだ。一度は付けてみるしかない。

取り付けには少し手こずったが、やはり前にやった経験が生かされる。エキパイからステーから要所のボルトを外さず緩めておいて取り付け、位置を決めたら一気に締めて固定する。
しかしなぜかスイングアームとのクリアランスがほとんどなく、ストロークすれば必ずぶつかる。なんというギリギリのデザイン。そこまでスリムに、車体に沿うようにしたかったのだろうか。ちょっと心配だったのでステーにワッシャを2枚噛ませて6ミリほど開けておいた。
そうして出来上がった姿は、やはり予想通り。少なからず違和感を感じる。どうにもここだけクラシカルで、まだヨシムラサンパーのほうが似合っている気がする。
いやこれがWMらしさと言えばそうだとも。
とりあえずキックしてみる。

とはあ!これはいい!

ああやばいやばいやばい、この音、サンパーより好きかも。
オリジナルでもいいと思っていたのが吹っ飛んだ。
性能がどうであれ、この音を纏いながら走ることを想像するとかなり気持ちよさそうだ。
スポーツスターに乗ってた頃に感じた高揚感というか音に酔う感覚、戻ってきた。
見た目はそのうち慣れるだろう、ああ早く走りたい。


ついに写真茶話会初の写真展を開催することになりました。
実はもう7年目になるのですが、今まで写真展を目標にはしていなかったこともあり、参加者の皆さんの作品を公開することはなかったのです。
茶話会も昨年までは一回ごとの自由参加で、参加者も出たり入ったりだったので、目標を持った作品づくりというよりはそれぞれにおける写真表現の可能性や意味を探る写真講座として開講してきました。
しかしそれを昨年の夏に一旦閉じ、個人的な理由ではありましたが僕自身も写真を教えることを辞めようと思いました。再開も、よほどのことが起こらない限りやらないつもりでした。

それが、起こってしまったのです。

ちょうど1年前のことでした。いろんなものを手放したそれを境に大きく変わっていき、1年前と今とでは別の人間を生きているようです。
いや、それ以前のこともすべてが肯定されたとも言えます。

写真茶話会をもう一度やろうと考えたのはその変化のひとつでした。
写真展を目標に完全無料の写真講座ならやりますけど参加する人いますか?と呼びかけたところ7名の方が集まり、最近一人増えて現在8名の方がいます。
名前を『SIGNの写真茶話会』から『写真茶話会 RR』とし、「人にはたらく」というテーマでみなさん作品研究をしながら、目下写真展に向けて制作中です。
僕の主観だけかもしれませんが、こんなに真面目に写真表現に取り組んだ写真展は多分今の日本ではかなり珍しいものだと感じています。
それらの作品は写真そのものの価値だけを追い求めたものではなく、写真という刃物によって砕かれた作者の破片だからです。

見終えた後に、言葉のない写真からたくさん話しかけられたように感じる写真展にしたいと思っています。
来年の2月の末、開催決定です。

場所:海岸通ギャラリー CASO
   大阪市港区海岸通2-7-23
   06-6576-3633

日程:2015年 2月24日〜3月1日
caso_map


本当は前後同時に交換するつもりだったタイヤ。リアでかなり手こずり、フロントは後日ということで置いてあった。
とは言え2時間では片付かなかった前回のことを思うと、いつやるの?って感じで、近頃の暇のなさから考えると用意は周到にしておかなくてはと思った。
そういうところはやっぱりオーダーメイド家具を作っていた感覚なのかもしれない。
失敗はできないし、時間もかけられないところで、そこそこ質も上げたい。

最近は便利なもので、動画サイトで達人のタイヤ交換がアップされてたりするので参考にしてみた。(なんと外して組むまで5分!)
使用する道具、手順、コツなど、何度も再生できて色んな人のやり方が簡単に見られるのだから、はたして職業訓練の意味さえ考えさせられる。
これを見てあとは練習するだけだから、これを見てできる人は誰かに教わる必要は無い。やはり学校の意味は他にある。


とかなんとか考えつつ、ホイールを外す。この辺はまあ大したことではないが、フロントのスタンドの高さが若干足りず、キャリパーを外してもホイールが抜けなくて、タイヤの空気を抜いてゴソゴソしたら抜けた。
木枠は達人が使ってたので作ってみた。ローターを外さずに交換するためのゲタ。


そのゲタはビードを外す時にも役立つ。ビードブレーカーに乗せたホイールを安定させ、高さもちょうどいい具合に。1800の2×4材一本でできるので、300円くらい。
両面ビードを落としたら、レバーで外していく。今回レバーは旧タイプと合わせて4本、リムプロテクターを3本追加して合計5本で挑戦。


うーん、このゲタ便利!作業がはかどる意外な優れものだった。裏からも手が入れやすいし、ホイールも安定するので力がかけやすい。なんといっても作業中ローターには一切力がかかってなくてどこにも触れていない。
時間も短縮できた気がする。


交換するタイヤはリアと同じダンロップのTT900GP。


前回の教訓からビードクリームは念入りに塗ることにした。タイヤをホイールに取り付ける時も、エアーを入れてビードを出す時も、結局こいつの仕事なのだ。プライドを捨ててそれを認めなければタイヤ交換は早くならない。
ホイールとビードの両方両面に塗った。


またゲタの上で手と膝も使って体重をかけて押し込み、残りをレバーで少しずつ入れていくと、あっけなく作業は終了。


空気をまだ入れない状態で車体に取り付ける。これは先ほどの理由で、タイヤが床を擦りながら少し押し込む必要があるからだけど、ビードを出す時にも浮いてる方が確認しやすくていいかもしれない。


バルブにムシをいれずにエアーをコンプレッサーで一気に入れる。すると気持ち良くパン、パンと二発ビードが出る音がする。これがスムーズにいくとまあほんとに気持ち良い瞬間。
ムシを入れて空気圧を調整して出来上がり!
おお、写真撮りながらFBにアップしながらでも1時間でできた。やった!


で、試運転しないわけにはいかず走り出すと、途中でアラレがばっさばっさと降り始め、路面は濡れるし前の車は遅いしで結局皮は半分ほどしか剥けず、本日は終了。

しかし、また気になることがひとつあった。こいつがうちに来てすぐの頃にあったガス欠っぽい症状がまた出てきたのだ。それも前回と同じところを走っている時に同じ場所でエンスト。
ガスは満タンにしたばっかりだったし、これはキャブか?燃料の経路に何かあるのか、負圧バルブだしな、もしくはゴミが詰まってる?
まさかあの場所に何かあるのか…

写真茶話会RRの皆さんへ

写真茶話会RR参加者のみなさんにお知らせです。

次回、10/26の第7回に出席の方は、ご自分の作品から一点、キャビネサイズか、はがきサイズか、2Lサイズでプリントしたものを提出してください。

大変遅くなりましたが、ギャラリーの予約申し込みをする際に、展示作品のサンプルを添付しなければならず、先方に写真展の内容と規模を把握してもらうためにできれば全員分送りたいと思っています。
まだ作品は未完成でも、最終展示のチョイスに入らなくても、現時点での一枚で結構です。

もし10/26に出席できない方は、お手数ですがプリントを郵送してください。
よろしくお願いします。

一日戻って考える


久しぶりに自分の工場で作業をした。独りで。
最近は土日と言ってもほとんど休日ではなく、僕が背負っている様々な役割のために、独りの時間というのはまさに時間単位分単位でしか持ち得ない。本当に生活が変わってしまったんだな。一年前には思いもしなかった今の状態から以前の生活へと一日だけタイムスリップしたかのような感覚と、しみじみとやはりこの場所で仕事をすることの幸福感を感じていた。
確かに、独りで何かものを作り出す作業に没頭することは、僕には向いているんだと思う。向いていると自分でそう思っていた。そしてそれを、およそ一年前、手放そうと思った。その後めまぐるしい変化が起こり、今の僕がいる。
それに踏み切る不安と期待を、師匠の永田さんにとある席で相談をした。仲間もいた。そのとき、師匠をはじめみんなの意見は同じで「やったらええ、やれやれ!」だった。長年続けて来た家具屋の仕事を辞めようと言うのに、少しでも永田さんの残念そうな顔があったら考えるつもりでもあったのに、その反応は真逆であった。
そんなふうに僕も生徒たちを応援できるだろうか。
体に馴染んだ機械で作業をしながら、懐かしささえ感じつつまた、戻れないという実感もあった。

こないだのプロップスフェスティバルのミーティングで、永田さんからカホンを作ってくれと頼まれた。何度もこのブログでカホンは製作休止宣言し、今や公務員として職務専念だって言ってるのに、おかまいなしのオファー。そんなこと言うとまた頭が固いだの真面目すぎるだの結局こっちもめんどくさいから断りようがない。
というわけで、ほとんど無理矢理時間を作り、112台目のカホンを作ることになった。
おかげで、こんなに良い時間となったのだ。



このカホンはプロップスフェスティバルで永田さんの息子のバンドが使用することになっている。叩くのは女性。それ用の注文だったが、今度いつ作るか分からないので、サイズは贅沢な大きめにした。合板の取りが悪く、今までに3台しか作ったことがない大きさだ。
たかが箱だけど、久しぶりに作るとなかなかいいもんだな。

診断の結果


初めて人間ドックを受診した。県の職員として毎年健康診断か人間ドックいずれかを選んで受診しなければならず、その受診日は職務専念義務免除とされ仕事を休んで行くことを許されている。受診料も一部補助が出る。
多分、この仕事をしていなければ一生受けることはなかっただろうと思う。

いくつか選べるそれ専門の医療機関ではなく、自宅近くにある市民病院で受診することにしたのは、専門の医療機関が学校の近所にあったからだった。仕事を休んで行くのに、半日ほどで終わる診察の後、学校には行かずに帰るというのもおかしな気がしたからだったが、実際飲まされるバリウムやそれを下すための下剤のためにまともに腹に力が入らず、30分以上トイレのそばから離れることは困難だった。もちろん胃カメラを選択する人もいるわけだが、そちらは予約がいっぱいでしかたなくバリウムだったわけだが、そのために一日休むことを許されていると思うと、ありがたいやら笑える措置だと思った。

診察の内容は市民病院だったからか実にあっさりとしていて、外来病棟をスタンプラリーよろしく回るだけ。問診もほとんど何もしゃべらず受診前に書いた問診票にも触れられることなく終わった。ちょっとした企業ならこれくらいの内容は健康診断と呼ぶものだろうけど、人間ドック。知り合いから聞いていたイメージとは違った。
これは何が目的?などと考えてしまった。病院からすればいつも風邪薬くらいしか出さない人間の健康状態をより詳しく知ることができ、その診断結果は僕の場合県にも報告される。
なんか見つかったらまた病院に行かなければならず。そんなにいいもんじゃないなやっぱり。

というわけで、一応そのような制約はあれど半日自由になったので、気になっていたSRXのクラッチの相談にRIDE村田君のところへ行くことにした。頼んでおいたベスパの部品も届いているみたいだし。
村田君に状態を説明して見てもらうと、確かにフリクションプレートは減っているようだが、あともう少しだけエンジン側のアジャスターで調整できる範囲であり、交換はこれを使い切ってからでいいのではということだった。
いつもながら村田君、商売する気ないの?確かにそうだけど、フツーのバイク屋なら何も説明せずほいほい交換してハイん万円みたいな仕事してるのに。おかげでこちらは半年先か1年先かに修理は伸びたわけだけど。
いや、そういうことだと思う。こちらの気持ちに沿う診断とは!
調整後のクラッチは生き返り、まさにつながる喜び。本日の制約のためにあまり距離は走れなかったけど600シングルのトルクを改めて味わうことができた。コーナーの立ち上がりでずるずるとタイヤを滑らせ加速していく。ああやっぱりつながるってすばらしい。最近は不調気味のクラッチのせいで勝手にトラクションコントロールされてたんだな。帰ってタイヤを見たら、古いタイヤは悲鳴をあげていた。

そして修理が先送りになったおかげで、それを覚悟してしていた出費もなくなり、と思うと(結果なんのプラスにもなってないが)、あれですよ、今借りてるあれを「お買い上げでもいいですよ」と彼から言われてるあれですよ。
今は外してノーマルに戻しはしたけど、性能はともかくあのスタイルが目に焼き付いて離れない。
「これで儲けようとは思ってませんから」と自分が買った値段で売ってもいいという彼は実はもうワンセット所有しているらしい。ひや=!そ お ゆ う こ と だ っ た の ね 。
いや、そういうことだと思う。

よくお似合いでオーリンズ


このSRXを譲ってくれたやつがオーリンズのリアサスも持っているというのでちょっと借りて付けてみた。
そいつも買ってからまだ付けたことがないというので、どれだけ違うものかわからないという。
こないだからリアサスのことが気になってオーリンズをオークションで見ていたのだが、やはり程度のいいものは3万円以上している。だけど、ほんとにいいものなのか、どれだけ違うのかを考えるとそこにそれだけのお金をかけるのはどうなんだろうと思う。

まあとにかく幸いにも借りることができたので、今日たまたま2時間ほど時間が空いたので取り付けて走ってみることにした。

率直な感想としては、よくダンパーが効いている、というくらいの差で、止まっている時には明らかに違う沈み方に期待させられたのに走り出すと意外と硬い乗り心地。低速での細かいギャップに対してはノーマルの方がよく吸収してくれてたような気がする。プログレッシブスプリングのせいか初期動作から先の硬さは60km/h以下ではゴツゴツと気になるのだ。もともと車重が軽いからかもしれない。
しかしそれ以上の速度では細かいギャップはほとんど感じなくなり、腰が固定されたようにも感じる安定感。高速での大きく波打つような路面に対しても、あっという間に振幅が打ち消されていく。
でも逆に後輪からの情報が減ったようにも感じ、ノーマルのいつも「どう?どうよ?」みたいなうねりがないのが寂しくも感じる。
あとノーマルのフロントとの相性も気になるところ。性能が不釣り合いなために、慣れないせいもあってストレスを感じる。やはり、ノーマルはあれでバランスがとれているってことだ。そう思うと、このバイクの開発をした人の意図は、峠を60km/hくらいで走る、または法定速度域で気持ちよく走ることを前提にセッティングを出していたのだと気づかされるのだ。
それ以上の走りをした時の不安定な感じも、実は味付けだったとしたら、60km/hくらいでそれ以上の雰囲気を楽しめるようにできているのだとしたら、ここの性能をあげるのは味を薄めることなのかもしれない。

差し引きで言うと、僕の走りのレベルならノーマルでもよしということになる。

ただし!これを見よ。
リアサスがオーリンズになっただけでこんなにかっこ良くなるとは!
この、走りにやる気を感じさせる姿に、ああこのためだけに大枚はたいてもいいんじゃないのと思わされて押してしまいそう。あかんあかん、あかんねん。
実は今日走ってる時にクラッチが滑り出して、これの修理の方が先だよなあ。

今年で10回目を迎えるプロップスフェスティバル。師匠のZOO永田さんの呼びかけで集まったアーティストの即売イベントも今年で最終回となる。
僕も永田一門として一回目から出展してきた。
日々の仕事に追われながら出品作品を作り、毎回ミーティングを重ねイベントの準備をするのが毎年のサイクルになっていたのだが、偶然にもこの最終回の年に僕自身の新たな一歩を踏み出すこととなった。

「もの作りをする人間が声を上げなければ」という永田さんの思いから、毎回社会に関わるテーマを掲げ、ゲストを呼んでの講演や売り上げの一部を寄付する活動も、他のこういったイベントにはないプロップスフェスティバルの特徴でもあった。
アフガニスタンで小学校設立、熱帯雨林の乱伐問題、カンボジアの子どもたちへの支援、東北の震災と原発問題。今年も永田さんは福島県へ赴き、現地で出会った人々に直接支援をするために現地視察をして来られた。
ただ自分がものを作って売って生きていくだけではないということを、僕ら弟子たちをはじめ永田さんの周りに集う人々にもその思いは定着していったんだと思う。時にはイベント準備のミーティングが討論会のようになり、技術や表現やまた商売以外のことも僕らはここで学んでいたんだろう。

残念ながらこの最終回には出展者としては参加できない。作品を作って売ることを禁じられている身であるからそれに従うつもり。
スタッッフとしてステージ周りの仕事をするのと、わずかに残っている在庫をチャリティーオークションに出品しようと思っている。
戦争放棄と言いながら武器を売るつもりはない。
だけど、
やっぱりSIGNのブースがないのはさみしいなあ…

2回目のミーティングはSRXで向かった。大阪外環ナイトランは結構楽しかった。

こんなシーンがあったのか


今日は久しぶりにチャプター29に出席するため、室生までSRXで走った。
秋晴れのいい天気でバイクで走るにはちょうどいい気温。いい光。
山あいの田んぼの稲は色づき、刈り入れの早いこの地域ではすでに稲刈りがすんで籾殻を焚く煙が立ち上っているところもある。

SRXでは初めての目的地のあるショートツーリングだった。
このサムソンブルーがうちに来てから数回いつものコースを走ったりしたけど、やはりそのバイクを知るためにはある程度まとまった時間を走る必要がある。対話というか、操作しながら訪ねたり答えたり耳を澄ましたり。
どこまで回せる?どこまで倒せる?どれぐらいで止まれる?滑る、ねじれる、沈む。

こいつの走っている時の音がほんとに優しいことに気づいた。アイドリングのほどよく消音された丸い音が、回してもさほど変わらず、体に伝わってくる振動とも違和感のない音で、走っていてもちゃんと低音が聞こえてくる。
回すと言っても、もともとスピードを出しても回転数があまり上がらないエンジンなので、いつまでも一発一発が連続音にはならず、コロコロとした感触の振動とともにそれに合わせて排気と吸気の音を演出したかのよう。
静かなことを音が悪いと言う人もいるようだが、弾けるような音よりも重低音よりも、SRXにはこの音が似合っている気がする。走りながら包まれるような優しさがあった。

室生の近くになり、まだ走り足りない感じがしたので目的地を通り過ぎ室生寺へ向かうワインディングを走る。
そこで初めてタイヤの端まで使ってみた。標準より幅の広いタイヤを履いていること、またいつ履き替えたかわからない真ん中しか減ってないタイヤだったので、端の方は新品で少し滑った。結局試したのは一瞬だけで、あとは端から2cmくらいを残して走る。それくらいが一番気持ちいいかもね。
ブレーキもそれくらいのペースならちょうど良く、ダブルディスク用のマスターは指一本でフルブレーキングできるから逆に楽だった。
だけどリアサスだけはどうしようか迷うところ。ここまでノーマルスタイルが気に入ってしまったのに、フレームとスイングアームの剛性の弱さもあるだろうけど、ギャップでリアがねじれるような感じはどうも。イニシャルあげてもだめだろうか、曲がりにくくなるかな。
そんなことを考えながらも山の景色を眺める余裕があるのは、結局このバイクの性能の良さを示しているのかもしれない。そこそこの走りをしていても不安な感じはなく、意識して入力や体重移動をすることによって曲がっていくコーナリング特性は、軽く流す程度でも曲げる楽しみを味わわせてくれる。
いいバイクだ。これを生んだ人たち、ありがとう。僕の手に届けてくれた人、ありがとう。
まったく、走るのがあまりに気持ちよくて、目的地に辿り着けないかと思った。


昼ご飯は久しぶりに贅沢をした気がする。
午後からの話でどんとこいの説明をした。


ラッキーさんのカメラマンの友人の方からベスパをいただいた。
20年前に購入され、これで北海道にも行ったことがあるそうで、それからずっと所有されていたということは思い出の詰まった思い入れのある一台だったのだろう。
7年前までは走らせていた、ということだが最近は乗らなくなってしまい、もともとは友人であるラッキーさんにいらないかと持ちかけられた話だった。
要修理であったことと、ラッキーさんが現在置き場所がないということもあり、僕のところへ話が回ってきたというわけ。
ベスパ100ビンテージ。
予想以上にやれた感じではあるけど、それでも匂い立つこのかっこよさはなんだろう。この感じがまた似合っている気もする。
不思議なバイクだ。
形はスクーターでありながら、クラッチや3速ミッション、フットブレーキが付いているので操縦はバイクと同じ。ただ乗っている姿がバイクよりも現代のオートマスクーターよりも楽しげに見えるという、まさにベスパという乗り物。
かつてはそれがもてはやされ、バイクと比較してのチョイスだった時代もあり、またファッションとして何度もブームを経験し今に至る。
聞いた話ではチョッパー乗りのセカンドバイクとして少しずつまた注目を集めているらしい。
いやそんなことなど関係なく、自分がベスパオーナーになれるとは思ってもみなかったことで、二輪の歴史に残る名車をまた手に入れてしまった感動を噛みしめているのである。本当に感謝。
走らせるのには少し時間がかかりそうだけど。

忙しい村田君が少し落ち着いたらまた相談してみよう。ガレージライドはピアッジオ代理店でもあるからね。

というわけで、手のかかる子がまた一人増えたので、一人を里子に出すことにした。
カスタムベースにキープしていたGB250クラブマンを、訓練校の教え子に無期限で貸し出すことにした。
ただであげると言うと気にする男なので、まあ要らなくなるまで乗ってていいよということで。
するとどうですこの嬉しそうな顔。
バイクに乗っててよかったと思った、週末。

写真茶話会RRの5回目


昨日は写真茶話会RRの5回目だった。今回滋賀県からスミレさんという女性が途中参加で加わり、女性の割合が多かったからか、また違った雰囲気があった。
途中参加とはいうもののグループ展を目標に作品制作をすると謳っているRRだけに、その参加の意志がない人を簡単に受け入れるのは他の参加者の人に申し訳ない。当初、無料化したために興味本位で来られるのを避けようと決めたことではあった。
だからスミレさんには一日体験入学みたいな位置づけで、もし気に入れば今後も参加し、グループ展にも参加してくださいということにした。
こんなプライベートな写真講座で堅苦しいとは思うが、やはり写真のことはまだ安売りしたくないという思いもどこかにあった。
と言いつつも、初回だから、お試しだからと自分に言い訳しつつ、みんなの前ではもうやらないと言っていたテーブルマジックを結局やっていた。持ってこられたとりとめない写真を目の前で編集してみせるアレである。
最初は今までそれを見てきた他の参加者に話を振り、やってもらう。僕はしないつもりで。
しかし全員がそれぞれのパターンを見せた後、僕のを見せて欲しいと言われ、みんな僕がやらないと言ったのを忘れたのだろうか、その場の空気は自然とやる方向になっていた。

そんなことは最近の仕事にもある。
全部教えると言いつつ、「先生の作品の図面を見たい」と言われて「アホかそんなもん見せれるか」とか言いながら結局見せている。
SIGNのデザインの要所でもある旋盤加工も真似されたくないなと思いつつ、旋盤の良さは伝えたくて熱弁し、作品のコピーを許している。
すべてを手放し流れにまかせる結果にこそなれ、心のどこかで安売りしたくないという思いは残っているのだと、一瞬感じる拒否感がそれを表している。それさえも取り去られればいいのに、そういう感情は残されるのだな。


近所で子どもたちが遊ぶ声を聞きながら、今日はバイクを磨いた。数日前のエンジンと比較すると。

一番目立つところだけだけど、ここを磨くだけで随分雰囲気が変わる。そんなもんか。

朝6時に帰宅


ついに我慢できず、朝練に行ってしまった。
朝の静けさに気を使うと、なんだかキックが固く感じる。
朝のウォーキングをする人が意外と多いこと。家から離れた場所でエンジンをかけようと坂を下ったところでキックしていたら、この村にしては昼間にむしろ見かけないくらいの人通りだった。その人たちの視線を感じながらアイドリング。はじめての朝練。

いつものコースを走る。

途中スロットルを開け気味に走っていたらガス欠っぽい症状が出て、下りきったところの信号でエンストしてしまった。またもやこんなことで気持ちよく走れず、次回に持ち越しとなった。
リザーブに入れるとエンジンはかかったのでやはりガス欠だったのか、キャブのニードルバルブか。オートデコンプの調整とあわせて調子を見たい。

新しい仕事はすでに体になじみ、これ以外の仕事を考えられなくなっている。いやこの仕事に含まれるその他のことさえ興味がない。
彼らが自分で納得して行く道を選択できるように、しかし導くのではなくその判断に必要なものを提供したい。
僕としては励ます仕事がほんとに与えられたんだと思っているのだが。人から見ればそうではないのかもしれない、本当はそうではないのかもしれない。僕がどうであるかは彼らが感じること、決めることだ。

今は好きな時にバイクに乗れないこと以外不満はない。だからというかこの歳で朝練。車のいない時間をねらうなら、さらに1時間早くしなければ。

明日は写真茶話会RRか。

SRX-6 サムソンブルー


車検を受けたSRX-6サムソンブルー。
ああやっぱりいいわこれ。まだ数回しか乗ってなくて、こいつのポジションや加速やコーナリングも理解できてないけど、次第に体に馴染んでくるまでのこの時間は今しか感じられない違和感として楽しみたい。
この状況においては逆にすべてが満たされている感じでもあって、ブレーキもサスもマフラーもスタイルさえもこれが最高に思える。
このままノーマルで乗ってやる?
サムソンブルーになってるだけで十分なオリジナリティー?
なんてこと思いつつ、だんだん馴染んできた時には改良したいところが見えてくるのもバイクを楽しむ可能性。
とりあえずは現状で奇麗にしてやれるところは少し手を入れたい。



それよりもまず、もっと乗りたいよ。
朝練とかする歳でもないか。

水と宇宙と感動の青


小雨が降る中、待望のSRX6を迎えに行ってきた。

以前乗っていた4型のSRX400を手放す時に、必ずもう一度と誓い、そして次こそキックの600と願った。
その時どうしても750に乗りたくて手放すことにしたものの、今まで乗り継いだバイクの中でもあんなに別れの後味の悪さを感じたものは少ない。
「これでいいのに」と思い。また「やっぱり600じゃないと」と言い訳する。
その後も何台か乗り継ぎながら、いいものに出会えたらSRXを生涯のバイクにしようと思うようになっていた。
もちろん古いバイクだからいつまで乗り続けられるかはわからない。しかし、バイクとして余計なものが付いてなくて、必要なものが奇麗に配置されているだけの勝利とも言えるSRXには、乗り手が手を入れられる寛容さがある。
このバイクを譲ってくれた彼も、自分のSRXを維持し続けるために集めた何台分ものパーツから1台組み上げてくれたのだ。
当時のラインナップにはなかった2型の600でサムソンブルーのタンクとフェンダー。ああもうなんというか。
早く車検を取って乗りたいところだが、当分行く暇がない。

その彼ともう一人の生徒とコーヒー2杯とインドカレーで9時間ほどしゃべった。

少しでも晴れていたら走りに行ってしまうところだった。太陽の下ならもっと鮮やかな青。




オリーブの葉をくわえた鳩


はじめてオフ会というものに参加してきた。
普通のおじさんおばさんに見えるけど、すげー人たち。
僕もそのときその作品(ビーチボーイズ)のワンピースだったのかもしれないし、勘違いだったのかもしれないし。
それも今は気に留めることでもない。どちらでもオッケーだ。どんとこい。
アーユーハッピー、ラブアンドピース、世界で一番うまい煙草はピース、それは間違いないことだ。














いろいろあるさ


現役最後の仕事となったガラステーブルを鎌倉に納品してきた。
テーブルが仕上がったのは3月末であったが、納品先である鎌倉のマンションをリフォーム中ということで、その完成と引っ越しのタイミングでお願いしますと言われていた。
3ヶ月という時間をかけて少しずつ指導員という仕事が体に馴染んできたところだったから、久しぶりの家具の仕事に少し懐かしさも感じる。こだわり続けてきた直接納品も、この仕事におけるひとつの楽しみであったのだと改めて思う。
サンバーに家具をのせて長距離走り、日本全国どこへでも、なんてあまりにもリスキーでしかも運送費として片道の交通費しかもらわないで日当すら取らないなんて、どう考えてもおかしなことをしていたもんだ。
別に仕事に縛られていたわけではなかったけれど、きっと旅をしたかったんだろう。そんな旅もこれで当分することはないと思うと、どこかに立ち寄ったりするよりはただこの距離を感じながら走り続けることにした。
往復1,100km。その程度ではあったが、気持ちは砂漠を横断する小さなバイク、もしくは銀河系の中心を目指して飛ぶ宇宙探査船の孤独。

納品は午前中、10時頃を希望されていたので、前日の夜12時に出発して行けるところまで行き、途中のSAで仮眠しようと思っていた。
写真は足柄SAだが、これは給油に立ち寄った時に撮ったもので、本当は日本坂SAで力つきた。出発したその日は午前に講義、午後から実習で疲れていたからか、前回川崎に納品した時に仮眠した足柄まで辿り着けなかった。

そして初めての鎌倉。茅ヶ崎、湘南、江ノ島。

神戸より田舎で神戸よりあか抜けてる感じ。関東に沖縄を持ってきた感じ。

そんな鎌倉の山の手の住宅街。細い坂道を登りきったところにそのマンションがあった。その場所はそこまでの状況からは想像できない広さがあり、マンションの一軒一軒も大きく、お客さんのおうちは3階だったが2階があった。
すごい、こんなところがあるなんて。
玄関を入り、2階のリビングに案内されテーブルの天板と脚部を二回に分けて運び入れた。

今日が引き渡しということで、まだ洗い屋さんが作業をしていたり、設計士か不動産屋と思われる人たちとお客さんのご家族に見守られながら組み立て作業をする。なんだかその状況に緊張してしまい、ローズウッドの床に汗がしたたる。

いつもであれば、ここで少しというか時間が許すかぎりお話をするところなのだが、お客さんにとっては今日は家の引き渡しがメインであり、ちょっとタイミングが悪かったか。
テーブルを前にみんなで記念写真を撮ることになり、それはテーブルの記念なのか今日のための記念撮影に僕が入れてもらったのか、その写真は不動産屋か設計事務所のホームページに使われるということだった。
そしてみんなに見送られながら、それで退散することにした。

マンションの入り口まで送ってくださった依頼者であるご主人と歩きながら少し話をした。
僕より二つ年上で、船舶関係の会社で仕事をされていて、退職金でこのマンションを購入されたのだという。
え?その歳で、と思ったらそれを察し、「役員になったので、」と説明してくださった。
もともと千葉に住んでいて、鎌倉に住みたくて物件を探していたらこのマンションに出会い一目惚れだったという。そんなチャンスがあったとしてもそのお金がなければ不可能な話であり、またそのお金を手放す気がなければ手に入れることはできない。
僕にとって現役最後の仕事に、今までも色んな世界を見せてもらった仕事ではあったけど、これも見よということだったのだろうか。

帰りの道はまた海岸線を走り、なかなか進まない渋滞も、ゆっくり走りたい僕にはちょうど良かった。
汗で濡れたTシャツに海風が気持ちよかった。

帰りの高速で右前輪がパンクし、SAで修理中のサンバーも笑ってるみたいに見える。

笑い声が聞こえる


写真茶話会RRの2回目は前回来れなかった人が一人加わり、また前回来ていた人が二人来られなかったりで、また全然違った雰囲気となった。

今回写真を見ていて思ったのだが、参加されているみなさんの写真が見るたびに成長しているような気がする。
これはひいき目で見ているのか、それともRR効果なのか。(参加者からはRRのネーミングがダサいと言われている)
いや確かにあのオリエンテーションを境に何かが変わった気がする。それぞれの意識の中で理解しているという実感はないかもしれないけど、「表現=人にはたらく」と定義して取り組む作品になってきているように思うのだ。
あるときそれは自分に向けて語りかけるワンショットかもしれない。
また、自分の眼を通すことで人に違和感を覚えさせるのも「はたらく」ことと言えるかもしれない。
驚きも切なさも気持ち悪さも、自分以外の誰かと接触したときに起こる。
「話しかけてもいいですか」なんて切り出す人はいないだろうけど、見終わった後、いっぱい話しかけられたような気がする写真展にしたいなあ。

その翌日は近所の子どもたちのはしゃぐ声を聞きながら、タイヤ交換をした。
こいつを買った当初からタイヤが前後ともあまり減っていないのにヒビだらけで、ブロックがもげそうなフロントをまず交換しようと前から準備していた。予算の都合上前だけね。
タイヤは通販で注文したのだが、しかも予算の都合でサイズを間違えていた。パリダカの標準サイズは3.00なのに2.75をクリックしていたのだ。見直せば2,000円の差額があった。ああ無意識に安い方を…

テストしてみると旋回性のいいXLがさらにくるんくるん回る。はは、こんなんもいいか。当分これでいくことにした。

今週土曜は写真茶話会RR

今週5/31(土)は写真茶話会RRです。

参加者のみなさんにお知らせです。
開始はいつも通り13時からですが、みなさんの作品を合評した後、大阪写真月間の「写真家150人の一坪展」を見に行きたいと思います。
こちらの展覧会には茶話会常連メンバーのラッキーさんも出展されています。

当日はSIGNから車で相乗りか、行かれる人数によっては電車で行きたいと思います。

また、見学を希望される方、今回から参加をお考えの方は、当日までにメールにてご連絡ください。
sign@norioyuasa.com

Early Times


ゴールデンウイークに特に何もイベントはなく、一日だけやっとできた独りの時間に何をしようかと思ったら、あいにく天気が悪くツーリングに行くこともできず。
工場でバイクをいじることにした。motoSIGN

最近気温が上がってきたせいか、冬の間にセッティングを出していたキャブレターは少しずつその兆候が出始めていた。ガスが濃いために高回転のふけが悪くなり、排気ガスのにおいも生っぽい。音はノーマルマフラーにしてはいい感じだったが、そろそろ調整が必要か。エアクリーナーのエレメントも交換していたので吸気抵抗が増していたせいもあった。
工場にパリダカを入れて作業を始めると、ガソリンの匂いが漂い、ちょっとだけバイク屋気分になる。
「この横切りがなければもっと作業しやすいのになあ」ついこないだまでここが神聖な仕事場だったのに、そんなことを考えるなんてちょっと麻痺してきたのか。それとも今の仕事に馴染んできたのか。そうであればそう願いたい気持ちもある。

訓練校では未だに地に足がつかないような感覚であり、いつもあたふたと走り回っている。職員室では多分僕が一番歩数が多い。
すでに生徒たちの前にいる時が一番落ち着く場所となっている。授業がやっぱり面白いのだ。
そして彼らとの距離が縮まってきたのか、「先生の個人的な意見が聞きたい」と質問されるようになってきた。僕の経験に基づく個人的な意見とは、教科書や彼らが進むべき本流にはないかもしれない。答えていいものかとその時思いつつ、僕の中にも少しずつ芽生えてきている野心があった。かつて写真において持っていたものと似たものだ。
職業訓練校でそんな野心を抱いていいのか。少し考えながら調整していくことも必要だろう。場所が場所だけに、大人なんだから。

このバイクの整備も慣れてきたせいか、思ったより早く仕上がってしまった。キャブのセッティングなどバラしから一時間もかからなかった。
余りすぎた時間を持て余す。外はまだ小雨が降っていた。
暇つぶしにはチェーンのクリーニングが有効だ。メンテナンススタンドで後輪を浮かす。
いくらやってもぐるぐると切りがなく、そんなにきれいになるものでもない。気づくとオイルでぎらりと光るチェーンが見るからに抵抗値が減ってさらさらと回っている。バイクを磨くのが好きな人にとっては最後の砦。露出している部分でありながら走れば必ず汚れてしまうが故にあまり手を入れることはなく、注油だけで当分放っておかれる場所。しかしここを光らせる喜びは独特な満足感がある。
チェーンは交換すればきれいになるけど、使い込んだものを磨いて喜んでいる機械あぶらマニアを楽しむのも古いバイクに乗る意味だ。

しかしそれでも時間が余り、結局小雨の中走り出した。

写真も楽しみでRR


なんとか4月スタートの約束を守れた「写真茶話会RR」
今は新しい仕事で頭がいっぱいで写真のことを考えられるか少し心配していたが、いざ参加者のみなさんの作品を前にすると、やはりどこかでスイッチが入るような気がした。

事前に何人かの人からは参加の意思を聞いていたが、今までの茶話会とは主旨を変更してのスタートは、当日いったい何人集まるのか不安もあった。新しい写真茶話会について去年から一緒に考えていただいたラッキーさんとは、ギャラリーを借りてのグループ展を目標にしようと最初の段階から話していた。それをするためには最低何人集まらないと、という現実的な話は結果を見るしかないことではあった。
しかし、当日集まった人数は6名。そして初日は都合で来れないが次回から参加したいという方を含めると全部で8名。西は神戸から、東はなんと長野県から参加していただき、一番近い人はSIGNから4軒となりの方。
呼びかけておきながら言うのもおかしいのだが、この人数は予想を超えるもので、非常にうれしいことだった。この人数分の作品が並ぶということはどんなに充実したグループ展になるだろうと、今から楽しみになってくる。
また、人数が増えると一人分の負担額が少なくなるのでみなさんにとってもメリットがある。
受講料をとらない、毎回参加しなくてもいい、グループ展を目標にした個人作品の研究。楽しい写真展にしたいな。

今回見せていただいた写真のいくつかは、すでにそれぞれの方向性が感じられるものもあった。
オリエンテーションを聞いて考えてきてくれたのだろうか。ホールショットから快調にとばして最後まで走りきれるか。次回から参加する方の写真も楽しみでRR。


今回参加された方のブログの写真を勝手に拝借しました。
それぞれの感想記事にリンクさせていただきました。

銀じ郎さんのブログ


Saltさんのブログ


ラッキーさんのブログ

現役最後の日は塗装して


明日、いよいよ新しい仕事の始まり。去年の末から何度も通った奈良県庁へ辞令公布を受けに行く。
現役最後の仕事となったこのガラステーブルも、この期限ギリギリぴったりに仕上がることとなり、今日塗装まで終えることができた。

いつも通りのペースで作業をしていると、明日何か変わるという実感がまだない。
平日の昼間に一人でこんな時間を過ごすこともなくなる。だからといって特に有意義に時間を使うこともなく、昼休みにはいつものコースをバイクで走り、昼飯にインスタントラーメンを食べ、夕方近くになって突然友人が訪ねてきたりする当たり前の一日だった。

目の前のことをただ見るだけで、先のことや新しい仕事のことを考える暇もなく過ぎていく一日は、この先振り返る日があれば貴重だったと思うのだろうか。いや、そんなこともないだろうか。
だけどSIGNとして家具を作り続けてきた10年間の終わりの日に、いつものように家具を作っていて良かったとは思う。
そのような納まりをずいぶん見せられてきた気がする。けっして繁盛していたわけではないけれど、なんとか食べてこられた。この世界でこんな生き方を許されるなんて本当は信じられない話かもしれない。余裕もなく、かといって大きな不足もなくいつもギリギリぴったりで納まることを、僕自身不満に思うこともあったけど、余裕を食いつぶすのも不足を埋めるのも自分自身ではできないことだと知れば、不満に思う自分への、自分が付けた自分の価値を手放そうと思った。
なんのことはない家具屋の到達点はやはり、注文されたひとつの家具を仕上げることだったのだ。

明日から指導員として訓練生に教えることは、偉そうな推論ではなく僕が経験したことがすべて。
さあ、10年分で足りるのかいな。

ハンドルはメカ好き


ガラステーブルの脚を固定するパーツとなるペグとボルトを作った。
このテーブルの可変機能のまさに要(かなめ)。

それぞれハンドル部分は満月と三日月をデザインしてみた。というとカッコつけてるみたいだけど、ボルトの方はシンプルに円柱にしただけで、ペグを三日月にするとボルトが満月に見えてくるというだけ。

とにかくこの2点で脚は本体に留まっており、ペグを差す位置によって支点となるボルトが長穴を移動し高さが変わるという仕組み。
アイデアとしてはあえて言うほどのことでもないが、実際はあまり自由度がなく脚同士が干渉しないパターンというのは限られている。
こんな構造だから強度的にどうかという見た目に不安な感じもするが、意外とがっちりと安定していて耐荷重もしっかりしている。ボルトの締め付けも効果があるようで、力学的には上からの荷重がそこに生まれる摩擦と、ボルトを支点とする脚材に対しての引っぱりの力に分散される。
4本脚の幕板や貫のある框組構造では上からの荷重に対する強度は強くてもねじれに対してはその接合部に集中して負担がかかる。火打や筋交いで強度を増すことはできるが、このテーブルにおいては構造全体で吸収している感じ。

仮組みをしてみて、よく考えたなあと思って見とれた。

それは思いついたのか


出来上がってしまうと何のことはないように見える、このガラステーブル用の脚。実は可変機能に合わせて、いびつな多角形をしており、変なところに長穴が空いている。
もちろんこの形は型板でくりぬいたのではなく、図面上で計算した上で直方体の基準面から正確に切り出していくのだ。
だからすべてがデザインのためというわけではなく、高さが変わりながら変形する構造であるために、他の部材と干渉しないようにとか接地部分の形状とかを割り出していくと自然にこの形になった。
装飾的な加工を加えればこの構造を生かしたデザインの発展性もあるのかもしれないが、このテーブルに関してはそのプロトタイプ的な無骨さも個性として残すことにしたのだ。
とは言え、このデザインを思いついたときに図面を書きながら、この構造においてはこのバランスは崩しようがないことにも気づかされた。まるで素数のようなバランスだった。
脚の本数は3本以外ではうまくいかない。400〜750という高低差を可能にするには、どこかの長さを変えることも曲線や曲面をほどこすところすらない。
自分で思いついておきながら、アレンジのしようがない、そんなこともあるのだとその時は思った。

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